
やっぱり英語脳を作るには音読一択ですね!



音読が効果的なのは聞いたことがあるんですが、結局どのやり方が正しいのかわかりません…。



うん、確かに世の中にはいろんな情報が溢れていますね。
今回はボクが実際に効果を感じた音読法を紹介します。
英語における音読学習は、英語の4技能を劇的に伸ばしてくれる学習法です。
事実、英語の学習において、音読学習ほど効果の高いものはないと言ってよいでしょう。
しかし、世間では音読学習の方法論が数えきれないほど溢れかえっていて、そのことがかえって受験生を悩ませているようにも思います。
この記事では、音読によって早稲田大学合格を果たしたボクが、科学的根拠に基づき確立させた音読のやり方を大学受験対策に絞って具体的に紹介します。
音読学習の効果や、音読学習に最適の参考書も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事は次のような方におすすめです。
- 音読学習をはじめようと思っているが、音読学習の科学的根拠を知りたい。
- 音読学習をすることによって、どのような効果があるのかを具体的に知りたい。
- 音読学習に取り組むうえでの注意点を教えてほしい。
- 音読学習をどのような手順で行えばいいのかを知りたい。
- 音読学習におすすめの参考書を教えてほしい。


この記事を書いた人
ヒラク
地方の公立高校から1年の予備校生活を経て、早稲田大学政治経済学部政治学科合格。
予備校時代には、早慶上智模試で上位獲得経験あり。
英語の音読学習の科学的根拠


まず、音読学習の方法について紹介する前に、そもそも音読にしっかりとした科学的根拠はあるの?という疑問に答えておこうと思います。
音読の効果としてあげられるのは「英語脳になれること」です。
脳トレでおなじみの東北大学教授・川島隆太氏が、明治大学教授の齋藤孝氏との対談で次のような研究結果を披露しています。
声に出すことは記憶のトレーニングにもなります。僕たちが文章を読む場合、一文字一文字を目で見て発声するのではなく、ある程度の量を見ながらそれを記憶に留めて声に出したり、理解したりしますね。これをワーキングメモリー(作動記憶)と読んでいますが、素読によってこの脳のシステムをフルに活用できることが分かってきました。
https://www.chichi.co.jp/web/20180804sodokunosusume/より引用
また、音読に対する専門家の証言としては以下のようなものがあります。
京都外国語大学教授の鈴木寿一氏 『第二言語としての英語習得において「音読」こそが全ての基本』
通訳者・元エディンバラ大学客員研究員の國弘正雄氏 『英語習得の王道は「音読」』
なぜ音読をすべきなのか~音読の効果・シャドーイングとの違い~


次に、そもそもなぜ音読をすべきなのかということについて、もう少し掘り下げて話したいと思います。
先ほど紹介した通り、音読によって得られる効果として最も大きいのは、「英語脳になれる」ということです。
日本語を介さずとも、英語を英語のまま理解できるようになることが、音読のメリットなのです。
そして、「英語脳になる」ということはつまり、リスニング力、リーディング力など英語4技能すべての底上げにつながるのです。
この点がシャドーイングとは異なる点です。いろいろなとらえ方があるでしょうが、個人的にシャドーイングはリスニング力をアップするためのものだと考えています。
上の図を見てください。
①がリスニング力、つまりシャドーイングで強化できる部分です。そして②が英語を英語のまま理解する能力、つまり音読によって強化できる部分となります。
シャドーイングをたくさんこなしているけどリスニング力が思ったように上達しないという人は少なからずいるでしょうが、原因はここにあります。
①の能力は高いけれど、②の能力が弱いということです。
シャドーイングをくりかえしても、「英語脳」ができていなければ、英文全体の意味を把握することは難しいのです。
ひとつひとつの単語は聴きとれるけど、それが積み重なって“英文”という形になると意味が分からないのは、どんどん耳に入ってくる英文を処理しきれず、理解が追いつかないからです。
音読を通して作られた「英語脳」という基礎がなければ、シャドーイングによるリスニング力アップは効果が薄いと言えるでしょう。
英語4技能を伸ばすために、「音読」という基礎トレーニングが必要なのです。
英語音読のやり方


それでは、いよいよボクが個人的におすすめする音読のやり方について紹介します。
①英文をコピーする(拡大コピーがおすすめ)


まずはじめに、英文のコピーをとります。
これは、後で説明する構文を記入するためのものです。
多くの教材は英文の行間が狭く、構文を記入するスペースが少ないので拡大するのがおすすめです。
②構文をとる(意味ごとにスラッシュで区切るという方法でもよい)


次に、英文のコピーに構文を記入していきます。
スラッシュで区切る読み方に慣れているという方であれば、そちらの方法でも構いません。
ボク自身は画像にあるように、構文をとるという方法を選択しています。
英文を読むうえで、構文を意識して読むことは欠かすことのできない要素だからです。
まだ構文をとることができないという方は、構文解説のついた教材を活用するのも良いと思います。
大学受験の教材の中にはそのようなものが多くあります。(教材の一例を後ほど紹介します)
英文の構造を認識できて、かつ、あなたの取り組みやすい方法でやってみてください。
③意味の分からない単語・熟語を調べる


次に意味の分からない単語を調べます。
ボクは音読中に日本語を目にしないように、英文とは離れた場所(コピーの端の方)に単語の意味を書き込んでいます。
ここで、先ほど挙げた「【構文をとる】という手順と順番が逆なのでは?」と思うかもしれませんが、基本的にはこの順番で大丈夫です。
構文をある程度取ることができる方であれば、まず構文をとり、その構文を基に知らない単語の意味を類推することができるようになります。
ただし、先ほど挙げたように初学者の方や、スラッシュ読みをする方は先に単語の意味を調べてもOKです。
④音源を通して聴く


次に音源を通して聴きます。
通しで聴いて、全体的な抑揚の付け方や“間”の入れ方などをおおよそでいいので、つかんでください。
ただし、時間がなければこのプロセスは飛ばしても構いません。
何度も話しているとおり、音読の目的は「英語脳を作ること」にあります。
音源通りにキレイな発音でなくても、声に出して読みさえすれば「英語脳を作ること」は可能なのです。
音読においては「音源を聴く」プロセスは補完的な位置づけとなることを理解してください。
⑤1つの英文5~10回を目安に音読を行う(1週間くりかえす)


そして、1つの英文を分量に合わせて1日5~10回を目安に音読します。
それを1週間続けます。
ボクは1回の音読が終わるごとにシャチハタの印鑑をポンッと押しています。
自分の努力を「見える化」することが、毎日継続していく上でとても効果的だと思うからです。
1週間続けたら、その英文の音読は終了。
また新しい英文をコピーするところから始めます。
※構文の勉強法&おすすめ参考書については以下の記事にまとめています。


音読をするときに意識すること


それでは、上記のような手順で音読を行うときに意識すべきことについて紹介します。
発音は気にしない=英文の理解に意識を集中させる
先ほども言った通り、まず大切なことは、「発音は気にしない」ということです。
もちろん発音をしっかりとできるのであれば、それに越したことはありません。ですが、音読学習の要点はそこではないということです。
ポイントとなるのは、「意識を向けるべきは発音ではなく、英文の理解である」ということです。
音読の目的は、発音を上達させることでも、リスニング力のアップでもありません。これらはあくまでも、副次的な効果にすぎません。
第1の目標は、英語を英語のまま理解できるようになること=英語脳の育成にあるのです。
ですので、発音に意識を向けるのではなく、英文の構造や流れに意識を向け、日本語を介在させずに意味を理解することに意識を向けることが大切です。
これは音読を多くこなしている上級者でもおろそかになってしまうことがあるので、注意が必要です。ついつい「声に出す」ということに意識が行ってしまい、「ただ読んでいるだけ」になってしまうことがあるからです。
英文の意味を日本語に置き換えない
次に意識すべきことは、「英文の意味を日本語に置き換えない」ということです。
授業・講義で日本語訳にするプロセスがある場合もあるでしょう。それはそれで構いませんし、問題集の解答ページに日本語訳がついているので、それをチェックするのもOKです。
ここで言う「日本語に訳さない」というのは、音読をしている最中のことです。
実際に英文を声に出して読む過程で、日本語で理解しようとせず、英語を英語のまま理解するように努める、ということが大切です。
はじめのうちは難しいかもしれません。まだ慣れないうちは、英語の長文の中で、比較的構文がシンプルなものを英語のまま理解するようにしてみましょう。
たとえば、SVの第1文型で、修飾語もないシンプルな英文などです。
いきなり第5文型で、後ろから長い修飾語がかかっているような複雑な英文を、英語のまま理解するのは不可能かもしれないので、自分のできる範囲でチャレンジしてみてください。
毎日継続する
音読は1日にたくさんの量をこなすよりも、毎日一定の量を継続していくことが大切です。
そのために意識すべきことは、「楽しむ」ということではないかと思います。
テキストの中で「面白いな」と感じた英文だけをピックアップして音読に活用するのも良いと思います。
また、テキストを離れて、自分の興味のある分野の本や、さまざまなジャンルの英文を網羅的に扱っている本などを使ってみると、楽しみながら、毎日ムリなく継続できるでしょう。
英語学習の一環ではあるけれど、普段の学習よりもいくらか気楽な向き合い方で、音読に取り組んでみてください。
感情をこめて読む
最後に意識すべきこととして紹介するのは「感情をこめて読む」ということです。
これはボク自身も最近知ったのですが、英語系YouTuberであるイングリッシュおさるさんの提唱しているやり方です。
英語脳を作る過程で、言葉というものが感情から生まれてくるものだと考えると、理にかなった方法だと思います。
小説やフィクション系の読み物であれば、その世界に入り込んだつもりで音読します。また、論文やニュース記事のような堅めの文章であれば、それを読み上げる教授やニュースキャスターの目線で音読します。
より詳しく知りたいという方は、こちらのイングリッシュおさるさんの該当動画を視聴してみてください。
音読の効果はどれくらいで表れるの?1か月?3か月?


音読の効果はいったいどれくらいで感じ取れるようになるのでしょうか。
ボクは個人的に「3か月」だと思っています。これは自分の受験生時代の体感です。
中には1か月で効果が出ると主張する人もいます。こればかりは個人差があるので、どちらが正しいということは言えません。
そのかわり、ボクの言う「3か月」というのは「劇的な効果が出るまで」の期間です。
1か月くらいで徐々に効果は出ていたのかもしれませんが、目に見えて音読の効果が現れる、つまり英語を英語として理解できるようになるのには、やはり3カ月程度かかったように思います。
スタディサプリの人気講師である関正生先生も音読の効果が現れるまでの期間を「早ければ2カ月、普通は3か月」と語っています。
ですので、すぐに結果を求めるのではなく、あせらずに毎日コツコツ継続することが大切です。
英語の音読学習のメリット


音読学習の効果については十分お伝え出来たかと思いますので、ここではそれ以外のポイントについて、メリットをお話ししようと思います。
自分の使っている教材をそのまま使える
まず1点目は、「自分の持っている教材をそのまま使える」ということです。これは言い換えると「音読用の教材を準備する必要がない」ということです。
授業で使ったテキストや、長文読解の参考書、過去問集など、あなたがすでに持っている、ありとあらゆるものがそのまま音読用の教材になります。
また、単語帳・熟語帳についている例文だって、立派な音読学習の教材になります。
最近では、多くの参考書が音源対応なので、昔のようにCDを別で買う必要もありません。
音読の環境を整えるために、あれこれ準備する必要がないということが大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
授業の復習になる
2つ目にあげられるのが、「音読学習をすることで、授業の復習にもなる」ということです。
自分の体験上、授業の復習は音読だけで十分だと思います。
東進ハイスクールの今井宏先生は、その著書の中で次のように語っています。
「授業を受けては音読」「また授業を受けては音読」、その連続で英語力を爆発的につけていくのだ。授業を受けるのは、音読の素材を獲得するためであって、100%理解できるような良質の授業なら、いくらたくさん受講してもかまわない。
「さあ音読だ 4技能を伸ばす英語学習法」より引用
授業の後に復習として音読をくりかえしていく。たったこれだけのことで、英語力は飛躍的に上がるのです。
空き時間を有効活用できる
3つ目のメリットとして「空き時間を有効活用できる」ということがあげられます。
受験生は英語だけ学習していればいいというわけではありません。
いくら英語の音読学習が有効であっても、ほかの教科の学習時間も確保しなければならないですよね。
音読の良いところは「スキマ時間を使うことができる」という点です。
例えば、次の講義がはじまるまでの10分とか、電車待ちの5分とか、必ずちょっとした時間がありますよね。
それに、「数学に飽きたから、ちょっと気分転換に音読しよう」でもいいわけです。
音読に1日30分程度時間を使うとしたら、30分×1回である必要はありません。
5分×6回でも、10分×3回でも十分効果がある学習法です。
英語の音読学習におすすめの教材


それではここで、これまでに述べてきたポイントを踏まえ、音読学習におすすめの長文教材を紹介します。
おすすめするうえで重視したポイントは以下の3つです。
①ネイティブによる音声がついていること
②長文の長さが適切であること
③過去に大学入試で出題されるなど、受験生の求めるレベルに合った長文であること
英語長文レベル別問題集【改訂版】 (東進ブックス レベル別問題集)
音源 | アメリカ人・イギリス人・インド人による音声、音読動画、リスニング動画 |
難易度 | 1超基礎編~6最上級編 |
執筆者 | 安河内哲也・大岩秀樹(東進ハイスクール英語講師) |
出版社 | ナガセ / 東進ブックス |
まず最初におすすめするのは『英語長文レベル別問題集【改訂版】 (東進ブックス レベル別問題集) 』です。
今回、音読に最適な長文問題集を探していたところ、ちょうど同時期に改訂・出版されたのがこの問題集です。
こちらの問題集は、東進ハイスクールにて長年にわたって音読学習の有用性を訴え続けてきた安河内哲也先生をはじめとする予備校講師によって作成されたものです。
2023年2月の改訂にあたって,古いテーマの英文はカットし,最新の傾向に合ったテーマの英文を新規に選定しているなど、内容面でのリニューアルがなされていますが、注目すべきは音源の充実です。
リスニング力の強化のため、すべての長文の音声を収録しているだけでなく、なんと「リピーティング」の練習ができる「音読動画」を収録しているのです。
さらには、ナチュナルスピードの音声を聴きながら英文を読む練習ができる「リスニング動画」も収録していて、まさに「音読のための問題集」と言っても過言ではありません。
そして、すべての音声をそれぞれアメリカ人バージョン、イギリス人バージョン、インド人バージョンで学習できるのだそう。
そこまでやるか!というほどの充実度ですよね。
また、各長文の構文も解説してくれているので、構文解釈もバッチリだと思います。
難易度的には、超基礎編~最上級編の6冊に分かれていて、あなたの現在のレベルや志望大学に合わせて選ぶことができます。
今回リサーチした中で最もおすすめできる参考書となっています。
大学入試問題集 関正生の英語長文ポラリス
音源 | ネイティブによる英文朗読音声のダウンロード |
難易度 | 0基礎レベル~3発展レベル |
執筆者 | 関正生(スタディサプリ英語講師) |
出版社 | KADOKAWA |
続いて紹介するのは『大学入試問題集 関正生の英語長文ポラリス』です。
受験英語界において、今最も勢いのある講師と言ってよい関正生先生の大人気シリーズです。
こちらの問題集も冒頭で音読の有用性について触れています。
関先生も音読の最も大きな効果として「英語を英語のまま処理できる力を養えること」をあげています。
また、すべての文に構文解析をつけてくれているので、構文の理解もしっかりと行うことができます。
音読を行う上でかなり使える参考書ですが、長文読解や問題演習の面でも評価が高く、英語力全体の底上げにつながること間違いなしと言えるでしょう。
大学入試 レベル別英語長文問題ソリューション
音源 | 長文すべてダウンロード対応 |
難易度 | 1スタンダードレベル~3トップレベル |
執筆者 | 肘井学(スタディサプリ英語講師) |
出版社 | かんき出版 |
最後におすすめするのは『大学入試 レベル別英語長文問題ソリューション』です。
こちらの参考書はこれまで紹介した2冊同様、「ネイティブによる音声対応」「すべての文に構文解説付き」といったポイントを押さえています。
そして、この参考書ならではのこだわりポイントが、「長文の分量」です。
執筆者であるスタディサプリ講師・肘井学先生によれば、100語程度では短すぎて、文章の起承転結がつかめず、逆に700語までいくと長すぎて音読には不適切であるとのこと。
シリーズを通じて300語程度の長文で統一されていて、そこには受験生に音読を継続してほしいという願いが込められているのです。
また、音読学習にかなり重点を置いている参考書で、音読用の白文までついています。
音読の効果はわかっているけど、続けられるか自信がないという受験生におすすめの参考書です。
まとめ


いかがだったでしょうか。
音読の科学的根拠から、ボクの音読学習実践例・おすすめの参考書にいたるまで、音読についてくわしく紹介しました。
ボクが受験生であるあなたに伝えたいのは、「上手に発音できなくてもいいから、毎日コツコツ続ける」ということです。
何度もご登場いただいている東進ハイスクールの今井宏先生は、受験生が音読についてあまりにも難しく考えすぎている点を指摘したうえで、次のように語っています。
「要するに、声を出して読みさえすればそれでいい」というのが正しい姿勢なのである。
物事はできるだけ単純に、複雑にしないほうが間違いなく長続きする。
一番ダメなのは、複雑化しすぎて長続きせず、1週間も続けないでサッサとヤメちゃうことである。
「さあ、音読だ ~4技能を伸ばす英語学習法~」より引用
この記事を読んでくださったあなたが、音読を継続し、英語力のアップ、そして志望校合格という目標を達成することを願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



