今回は、英語の音読学習におすすめの教材を10冊に絞って紹介していきます。
ボクは高校時代、英語担当の先生から見捨てられてしまうほど英語を苦手としていましたが、予備校で過ごした1年間で英語成績が急上昇し、第1志望の早稲田大学に合格することができました。
その要因として、単語力を固めたことや実戦力を身につけたことなどいくつかあげられますが、音読に取り組んだことがかなり大きかったと感じています。
音読に取り組む中で、その勉強法が洗練されていったのはもちろんですが、音読学習に向いている教材・向いていない教材のポイントも掴むことができたように思います。
そして、そのことが社会人になってからの英語の学び直しにも生かされ、TOEIC対策でも効果的な音読学習につなげることができました。
この記事では、そうした学習体験を通じて得た音読素材を選ぶときのポイントや実際におすすめしたい教材を紹介したいと思います。
音読初心者の方はもちろんですが、音読に取り組む中でなかなか効果を感じられない方や楽しみながら音読に取り組むことができていない方にとって有益な情報が含まれていると思います。
ぜひ最後までご覧ください。
この記事では、以下のような情報を知ることができます。
- 音読教材に適した英文の長さ・分量
- 音読教材に適した英文の内容
- 音読教材に付属していると便利なもの
- 筆者がおすすめする音読教材
この記事を書いた人
ヒラク
TOMOSU BLOG 運営者・執筆者
早稲田大学政治経済学部政治学科卒 / TOEICスコア 現在920点
【英語音読】教材選びのポイント
ボクが英語音読の教材を選ぶときに重視するポイントは、次の3つです。
英語音読に適した長さ・分量
ボクの思う音読に適した英文の長さは「1ページ以上2ページ以内」です。
自分の学習経験上、「短すぎず長すぎず」というのがポイントだと思います。
音読の目的は「英語脳を作ること」です。
英語力が十分でない場合、英文を1度読んだだけでは意味を理解できず、返り読みをしたり、あっちこっちに目が行ったりということがあります。
リスニングであれば、音としては聴きとれたけど、イマイチ意味として理解できない・イメージに結び付けられないという状態ですね。
英語脳が育つと目で読んだり、耳で聴きとった英文を脳が認識したときに、即座に意味に置き換えるられるようになるわけです。
このためには、英文をある程度のカタマリとして読み、目から入ってきた“英語”という情報を意味に置き換えるキャパシティを増やしていかなくてはなりません。
1文だけ読んで、すぐに意味として理解できる。これは当たり前です。
そうではなくて、ある程度の分量を意味として理解する。その確実性やスピードを上げていくためのトレーニングを積む必要があります。
ボクはこれまで音読を積み重ねてきたうえで、1ページというのはそのための最低限のカタマリだと考えています。
その一方で、「長ければいい」ということでもありません。
ボクは音読をするときに構文を意識して読むようにしているので、「ただ読む」というやり方に比べて、かなり脳のエネルギーを使います。
詳しくは音読のやり方の記事にまとめていますが、音読で英語脳を作るという目的のために最適な手段が、構文を意識して読むトレーニングだと思います。
英語の構造を認識するためのOSを自分の脳にインストールする。そのための学習法が音読なのです。
ですので、あまりにも長い英文だと、構文を意識することに対する集中力が切れてしまうのです。
そのような集中力を維持できる長さとしては、「2ページ以内」だと考えています。
スタディサプリの英語講師・肘井学先生も、ボクと同じような分量をおすすめしています。肘井先生のおすすめしている英文の長さは「300語程度」です。
実際に数えてみたことがあるのですが、300語をページ数に置き換えると多くの場合「1ページ~1ページ半」となります。
もちろん文字の大きさや間隔によって前後するので必ずとは言い切れませんが、おおよそその程度の分量と考えて差し支えありません。
ボクは単語数で言うならば、「300語~500語」というのが音読には最適だと思います。
個人的には500語より長い文章を読むことはあります。時として、高い負荷をかけることはトレーニングとして有効だからです。
その一方で300語より短い英文を読むことはありません。負荷が低すぎてトレーニングにならないためです。
その時々の英語力に応じて、かける負荷を調整するとよいでしょう!
ワタシはまだ英語力に自信がないから、300語のものから始めてみよう!
※音読の学習法については、以下の記事に詳しくまとめています。
英語音読に適した内容・構成
ボクの思う音読に適した内容・構成は、以下の3つです。
- 「話し言葉」よりも「書き言葉」
- 固有名詞が少ない
- 英文と日本語が混在していない
まず1点目の「話し言葉」よりも「書き言葉」からいきましょう。
先ほど触れたとおり、ボクは英語の音読をするときに必ず「構文」を意識して読むようにしています。
ですので、音読素材も「構文」をとりやすいものが最適だと考えているのです。
構文をとりやすい文体を具体的に言えば、「書き言葉」となります。
「話し言葉」は構文を崩した表現や、単語ひとつでも意思を伝えられるものが多く、構文を意識して読むというアプローチには向きません。
「書き言葉」は表情やジェスチャーといった補助表現が無く、文面だけで意思・考えを伝えなければならないので、基本的にしっかりとした構文をもとに構成されています。
「書き言葉」としては、論文・記事などがあげられるでしょう。
次にあげるのが「固有名詞が少ない」というポイントです。
あなたがTOEICを受けたことがあればわかると思いますが、TOEICの長文問題には固有名詞がバンバン登場します。
人名・企業名からホームページのアドレスにいたるまで、固有名詞のオンパレードです。
考えればわかることですが、人の名前や会社の名前を読み込んだって英語力アップにはつながりません。
ですので、英語脳を育てるという目的を考えると、TOEICの長文などは音読素材に不向きと言えるでしょう。
3つ目のポイントとしては「英文と日本語が混在していない」ということがあげられます。
英語脳を作る=英語を理解するためのOSを脳にインストールするために大事なのは「脳内から日本語を排除する」ことです。
脳科学者の茂木健一郎さんによれば、脳内では英語と日本語を処理する場所が別々に存在していて、英語を学ぶときに日本語に頼っていると、いつまでたっても英語を処理する部分が成長しないのだそう。
音読においても、英文を読んでいるときに日本語が目に入るページレイアウトの教材は避けるべきです。
実際に今回おすすめの教材をリサーチする中で、英文のクオリティは高いものの構成・レイアウトの面で泣く泣く選外としたものもあります。
英語は左のページ、日本語は右のページといった感じで、きちんと住み分けがされているものを選ぶとよいでしょう。
音読の効果を感じられなかったけど、素材選びを間違ってたのかも…。
音読は教材選びの時点で明暗が分かれる気がします。
英語音読に適した付属物
音読に取り組むうえで教材に付属していると便利なものは、次の2つです。
- ネイティブによる音声
- 構文解説
まず「ネイティブによる音声」ですが、これは一般論です。
ボクは音読において、「発音なんかどーでもいい」という考えです。
再三話しているとおり、音読の目的は「英語脳を作ること」にあります。
英語の構造を浸透させるということが目的であり、最終到達点です。
発音なんか気にする必要はないし、音読の本質は発音のウマいヘタにありません。
ですので、ボクは基本的に音読学習においては音声を聴かない派です。
が、それでもやはり、音声を1度聴いてから音読に取り組みたいという方が一定数いることも事実なので、念のためポイントとしてあげておきます。
2つめの「構文解説」についても人それぞれだとは思います。
すでに構文を確実に取ることのできる方にとっては不要でしょうし、そもそも構文なんて意識しないという方もいるでしょう。
ただ、構文をもとにアプローチしたいけど、まだ構文解釈に自信のない方にとってはあると便利なものです。
最近の大学受験の長文参考書(問題集)の多くには構文解説がついているので、社会人の方であっても、音読用素材としておすすめです。
音声がついていると、シャドーイング教材としても使えるというメリットがあります。
1冊の本をさまざまな学習に使いたい方にとっては、音声は必須ですね。
【英語音読】おすすめの教材
それでは、ボクのおすすめする音読教材を紹介します。
自分で実際に使用したもの、あるいは今回の記事執筆のためにリサーチしたものの中で、自信をもってあなたにおすすめするのは次の10冊です。
話す・聞く・書く・読む 4技能に効くはじめての英語音読
音読初心者の方におすすめしたいのがこちらの「話す・聞く・書く・読む 4技能に効くはじめての英語音読」。
著者は受験英語の世界で、早くから音読の有用性を訴えていた安河内哲也氏。
「音読のパイオニア」だけあって、音読に対するアプローチには理論と実践の両面で根拠がある。
多くの受験生を成績アップに導いてきたという意味で、再現性も高い。
英文の長さ…短め
音声…CD・ダウンロード
構文解説…無し
ボクも音読は4技能すべてに効果があると感じます。
大学入試 レベル別英語長文問題ソリューション1 スタンダードレベル
先ほど紹介したスタサプ講師の肘井学氏による「大学入試 レベル別英語長文問題ソリューション」。
英文の長さに加え、音読用の白文もついていて、構文解釈をもとに音読に取り組むうえでとても便利。
受験参考書のいいところは、①構文がとりやすいこと、②レベル別・テーマ別に分かれていて、たくさんの音読素材があること。
本書もシリーズとしてレベル・テーマ別に6冊あり、内容も受験問題だけあって音読向きなものが多い。
英文の長さ…最適
音声…ダウンロード
構文解説…有り
最近の受験参考書は音声・構文解説・白文と何でもついてるなぁ。今の受験生がうらやましい。
テーマ別英単語 ACADEMIC
個人的におすすめ度ナンバーワンなのがこちらの「テーマ別英単語 ACADEMIC」シリーズ。
その名の通り、アカデミックで知的好奇心をくすぐる内容となっている。
初級編は科学や心理学からビジネスの話題まで、多種多様。
キング牧師の演説が収録されているなど、とにかく読み物としておもしろい。
レベル別(初級/中級/上級)・テーマ別に5冊のラインナップ。
英文の長さ…最適
音声…CD
構文解説…無し
英語力を上げつつ、教養も身につけられて一石二鳥!
音読JAPAN
日本を「観光」や「食文化」などの切り口から綴った英文で音読できる「音読JAPAN」。
本書は英文のレベル・長さともに初学者向き。
それぞれの英文が、平易かつ300語程度の英文でまとめられている。
初学者の方が音読の感覚を掴んでいく上で、とても優れた構成だと思う。
英文の長さ…最適
音声…ダウンロード
構文解説…無し
意味も理解しやすいものばかり。構文に意識を向けることができてGOOD!
こころの音読―名文で味わう英語の美しさ
今回の記事執筆にあたり、リサーチした中で“掘り出し物”だと感じたのがこちらの「こころの音読―名文で味わう英語の美しさ」。
書名の通り、「美しい英文」を集めた1冊。
実際にボクも購入してみたけれど、英語という言葉の持つ新たな側面に出会えた感覚だった。
英文のレベルとしては中上級者向け。ただし、初学者の方にもぜひ手にとってほしい。
こういう文章に触れることが、英語を学ぶ意味だと思う。
英文の長さ…最適
音声…CD
構文解説…無し
学生時代は「英語の美しさ」に出会う機会なんて無かったなぁ。
教養あるアメリカ人が必ず読んでいる 英米文学42選
文学のジャンルから選りすぐりの名文を集めた「教養あるアメリカ人が必ず読んでいる 英米文学42選」。
こちらも実際に購入してみてのおすすめ本。
「ライ麦畑でつかまえて」「老人と海」など、日本でもおなじみの物語を収録。
英文の長さとしては、250語~500語程度。中には750語程度の長めのものもある。
内容・分量ともに、ぜひ音読学習に活用したい1冊。
英文の長さ…最適
音声…無し
構文解説…無し
この本のせいで、文学の沼にハマりそうです…。
学校では教えてくれない!1ヶ月で洋書が読めるタニケイ式英語リーディング
洋書を読むためのトレーニング本としてまとめられたのがこちらの「学校では教えてくれない!1ヶ月で洋書が読めるタニケイ式英語リーディング」。
「1か月で○○できる!」系のタイトルの本はあまり信用できないものが多いけれど、本書の内容は個人的に賛同できることばかり。
特に、英語力のベースは「読む力」だという筆者の主張には納得。
400~600語の英文が28日分収録されているため、音読にも最適。
英文の長さ…最適
音声…無し
構文解説…無し
洋書を読むことを目的にしているので、英文レベルは少し難しめです。
英検分野別ターゲット英検〇級リーディング問題
英検学習者以外にもおすすめしたいのがこちらの「英検分野別ターゲット英検〇級リーディング問題」。
英検の長文問題は大学入試と同様に、内容・分量ともに音読向き。
この問題集は本試験形式の問題を多数収録していて、音読教材として量をこなす意味でも最適だと思う。
ボクの見た限り、準2級から1級までの4冊があるようなので、自分のレベルに合わせて選ぶのがGOOD。
英文の長さ…適量~長め
音声…アプリ・ダウンロード
構文解説…無し
英検と大学受験の英文は音読素材としてガンガン活用すべきです!
英単語Issue
こちらもかなりオススメ度の高い1冊、「英単語Issue」。
シリーズとしては「キャリア・学び編」と「環境編」の2冊がある。
単語学習用でありながら、掲載されている長文は音読学習を念頭に構成されている。
先ほどおすすめ度ナンバーワンとして紹介した「テーマ別英単語 ACADEMIC」と同じくZ会による教材。
Z会の英語参考書はやたらとクオリティが高い。Z会恐るべし…。
英文の長さ…最適
音声…ダウンロード・ストリーミング
構文解説…無し
音読の素材探しは、まずZ会のコーナーからチェックしてみるのがおすすめ。
英語ニュースの教科書 新聞で時事英語がスラスラ読めるようになる!
記事・ニュース型の英文に特化しているのがこちらの「英語ニュースの教科書 新聞で時事英語がスラスラ読めるようになる!」。
ニュース記事は、その構成をはじめ、論文・物語とは一味違った作りになっていて、そのためのアプローチが必要。
英文のレベルも含め、中上級者におすすめしたい1冊。
ボクはこちらの本で理論を学んだあとに、英字新聞を実際に購読してみた。
英字新聞をはじめ、英語で時事ニュースに触れる上で、こうしたプロセスを踏んでおくのが効果的。
英文の長さ…最適
音声…ダウンロード
構文解説…無し
時事英語の上達を目指している方は、ぜひ本書で音読を!
まとめ:音読って、シンプルだけど深い。
いかがだったでしょうか。
英語の音読学習におすすめの教材をご紹介しました。
これまで音読学習を積み重ねてきて感じるのは、「音読って深い」ということです。
世の中にはありとあらゆる学習法がありますが、英語(語学)の音読ほど深いものはないと感じることもあります。
江戸時代の寺子屋では漢文の素読が行われていました。
子供たちは漢文を声に出すことで、言葉を体に刻み込んでいったわけです。
時代や洋の東西を問わず、これほどシンプルで、これほど奥の深い学習法はないでしょう。
その“深み”へと至る学習の中で、今回の記事をひとつの参考にしてもらえたならとてもうれしく思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。