今回は社会人の英語の学び直しについて、自分自身の体験を通じて感じたことをシェアしたいと思います。
ボクは大学以来、ブランクを経て英語学習を再開しました。
学生時代から英語が好きだったこともありますが、フリーランスという職業柄スキルを身につけておきたかったこと、そして変化の激しい現代において「世界の最先端」に触れるためには英語は欠かせないと思ったからです。
ボク自身は今現在も英語学習を継続していて、まだまだ英語初心者だと思っていますが、2023年10月のTOEICで900点台を達成するなど一定の結果も得られるようになってきました。
そこでこの記事では、社会人の方が英語の学び直しに取り組むうえで効果的だと思う学習法や意識すべきことなどを提案します。
英語の学び直しについて有識者の分析も紹介するなど、客観的な情報も織り交ぜてはいますが、ボク個人の経験や考え方がメインとなります。
あなたと同じように英語の学び直しに取り組んだ人間の体験談として、ひとつの参考にしてもらえたらうれしいです。
この記事では、以下のような情報を知ることができます。
- 英語の学び直しに取り組むときに意識すべきこと
- 英語の学び直しに効果的な学習法・学習プラン
- 筆者が考える“最強の英語学習法”
- 英語の学び直しを通じて得られる体験・メリット
この記事を書いた人
ヒラク
TOMOSU BLOG 運営者・執筆者
早稲田大学政治経済学部政治学科卒 / TOEICスコア 現在920点
※学び直しはまず何からやるべきか。具体的な学習手順についてはこちら!
英語の学び直しに取り組むときに意識すべきこと
自身の体験をもとに、英語の学び直しにおいて意識すべきだと思うのは次の3つです。
「楽しむ」ではなく「落ち込まない」「自分を責めない」
英語の学び直しに取り組む際に意識すべきこととして、『「楽しむ」ではなく「落ち込まない」「自分を責めない」』ということがあげられます。
社会人向けの英語学習法について調べてみると、必ずと言ってよいほど「英語学習を楽しみましょう」という言葉を目にします。
ボク自身も英語学習を再開したときには、この言葉通りに「楽しむこと」を意識して日々の勉強に取り組もうとしました。
ですが、「英語学習を楽しむ」ということは実際には難しいことでした。
その原因として以下の2つがあります。
- そもそも「勉強を楽しむ」方法を知らない。
- 「楽しい」と思えるようになるのは、ある一定のレベルを超えてから。
ボクたちは世代や生まれ育った地域の違いこそあれ、日本の教育の枠組みの中で育ってきた以上、「勉強を楽しむ」ことなど習ってきていないのが実情だと思います。
「どのように楽しむか」を知らないのに、ある日いきなり「さぁ楽しもう!」と思ってもムリがあるわけです。
さらに、これは勉強に限らずスポーツなどでもそうですが、ある程度上達しなければ、「楽しい」という実感は得られません。
「英文を読めるようになってきた」「聴けるようになってきた」というレベルに達して初めて、「楽しい」という感覚が生まれるのです。
ですので、特にはじめのうちは「楽しむ」ことよりも、「落ち込まない」「自分を責めない」ことが大切だと思います。
学び直しに取り組む中では、暗記や基本のおさらいなど、正直言ってつまらない作業もこなさなければなりません。
英単語の暗記をしていると、学生時代に比べてなかなか覚えられないような気がしますし、英文法の勉強でも、学生時代には当たり前だったことが、なかなか頭に入ってこないこともよくあります。
このようなプロセスで、ムリに楽しもうとすると余計に自分を追い込んでいるような状態になり、勉強がさらに苦しくなってしまいます。少なくともボク自身はそうでした。
そこで効果的だったのが、「落ち込まない」「自分を責めない」ことです。
ムリに「ポジティブになろう!」とするのではなく、「ネガティブになるのを避ける」と言えばよいでしょうか。
単語の覚えが悪くても「落ち込まない」、基本的な文法事項を理解できなくても「自分を責めない」ことで、この時期を乗り越えることができるわけです。
学生時代に英語が得意だった人ほど、英語の学び直しに取り組むと理想と現実のギャップに苦しむかもしれません。
「もの覚えの悪い自分」を受け容れて、寛容になることが大切だと感じます。
いきなり「楽しもう」って言われてもどうすればいいのやら…。
いずれ「楽しい!」と思えるタイミングがやってきます。それまでは自分に優しく!
学生時代の勉強法を思い切って“捨てる”
意識すべきこととして次にあげたいのが、「学生時代の勉強法を思い切って“捨てる”」ということです。
ボクは受験生時代に英語が得意だったこともあり、自分の英語学習法にそれなりのこだわりを持っていたのですが、学び直しに取り組むときに、一度その学習法をすべて捨てることにしました。
時間が経ったことで、学生時代には無かった勉強法が登場していたこともあり、新しい学習法にチャレンジしてみたかったからなのですが、それによって以下のような効果を体感できました。
- 効率的な英語力アップにつながる。
- まっさらな気持ちで英語上級者のアドバイスを取り入れることで、英語力もどんどんアップする。
- 英語力に限らず、“学ぶ力”が向上する。
1については説明するまでもないでしょう。
科学的に正しい学習法が普及したことで、効率的に英語力アップにつなげることが可能になりました。
2については英語に限った話ではありませんが、何かを身につけるときに指導者や英語教材のアドバイスを素直に取り入れるのと、疑いながら実行するのとでは大きな違いがあります。
「この人の言うことなら心から信じられる」という状態で物事に取り組むと、飛躍的に能力がアップします。
まずは心から信じられる講師・教材との出会いを探してみるのもいいかもしれませんね。
3については総合的な学習力のハナシになってしまいますが、自分の知らなかった学習法を体験することで、他の学習にも応用が利くようになります。
英単語帳の中にはよく「初級編~上級編」といった感じで、1冊の中で単語をレベル別に分けているものがあります。
ボクは学生時代には「初級編を完璧にしてから、中級・上級に進もう」といった感じで、段階を踏んで進めることを心がけていました。
一見すると堅実で正しいやり方のように思えますが、実はあまり効率的ではないことを知りました。
覚えられないことや理解できないことがあってもいいので、どんどん先に進むことが効果的なのです。
いつまでもひとつのところに留まるのではなく、どんどん先に進んでしまうことで、回転率を上げ、単語に触れる機会を増やすことが大切です。
これは英語に限らず、さまざまな学習において有効と言えます。
先入観を捨て、まったく新しいやり方に触れることで、自分の知らなかった勉強の世界が開けてくるのです。
学生時代とは違った角度から見る英語って、新鮮ですね!
それこそが学び直しの醍醐味だと思います!
脳に負荷をかけない・3日坊主の繰り返しでOK
意識すべきこととして最後にあげておきたいのが、「3日坊主の繰り返しでOK」ということです。
ボクは英語学習を再開してから、毎日欠かさず英語に触れるようにしていますが、その中でやはり「今日は文法書広げたくない」「シャドーイングする気力がない」という日もあります。
そんな時は思い切ってサボることにしています。
脳科学者としておなじみの茂木健一郎さんはその著書『脳リミットのはずし方』の中で、一度チャレンジしたら、とにかく継続してやり抜くことが大切だとしたうえで、完璧主義に陥るのもダメだと主張しています。
三日坊主なら三日坊主なりに、三日坊主を100回でも1000回でも繰り返す・とぎれとぎれでもいいからやり続けることが重要なのだそうです。
茂木さんはそのやり方を「ベストエフォート(最善努力)方式」と名付けています。
一度うまくいかなかったとしても、また再起動してチャレンジしてみる。それを繰り返すことで物事をやり遂げることにつながると言います。
そしてその際には、目の前のチャレンジを「頑張ろう!」と意識せずに行うのが良いのだそう。
「頑張ろう!」と気合いをいれることで人間の脳は「何か特別なことを始めるんだ」と身構えてしまい、脳に負荷がかかってしまうからだとか。
ボク自身の体験でも、気合いを入れすぎるよりも、「サボる」「休む」をうまく取り入れるほうが、長続きするように思います。
「脳に負荷をかけない」かぁ。子供の頃は自然とできていたような気がするなぁ。
確かに…。大人になるにつれて、自分を追い込んじゃうんだよなぁ。
ボクの考える最強の英語学習法・音読
受験英語やTOEICを経験してきたボクの思う“最強の英語学習法”、それは「音読」です。
ボクが「あなたはなぜ早稲田に合格できたのですか?」「なぜTOEICで900点をとれたのですか?」と聞かれたなら、「音読をしたから」と答えます。
先ほど「学生時代の勉強法を捨てる」と言いましたが、すべて手放してみて唯一手元に残ったのが「音読」でした。
英語学習における「音読」のもたらす効果について、ボクは以下の3つを感じています。
英語構文のインストール=英語という言葉の“パターン認識”につながる
音読が効果的な根拠、その1つ目としては「英語という言葉の“パターン認識”につながる」という点があげられます。
江戸時代の教育機関・寺子屋で「素読」という学習法が採用されていたことはよく知られています。
ただ「声に出して読む」というシンプルな学習法ですが、近年、その学習効果の高さが再注目されています。
ボク自身、音読のおかげで英語成績を伸ばすことができたわけですが、その理由について改めて考えてみると、「英語をパターン認識することで、英語脳になれる」ということが大きいと感じています。
目で見た英文を声に出し、自分の脳に聞かせる。
ボクの経験上、これは「英語という言葉の構造・仕組みを自分の脳にインストールする作業」です。
パソコンやスマホはwindowsとかiOSのようなOS(オペレーティングシステム)をインストールすることで使えるようになりますが、それに似ています。
自分の脳(=パソコン本体)に英語の構造(=OS)をインストールすることで、英語を理解できるようになる。
そのインストール作業として最適なのが「音読」なのです。
たくさんの英文に触れ、それを自分の声で自分の脳に浸透させていく。
AIがたくさんの学習対象に触れ、その学習対象を理解していくプロセス(ディープラーニング)と仕組みは同じ。赤ちゃんが多くの言葉を耳にして、徐々にその言葉のパターンを認識していくのにも似てますね。
英語の構造とは、構文(5文型)ということになるので、ボクは5文型を把握してから音読をしていますが、「とりあえず声に出して読む」だけでも十分効果は見込めると思います。
英語対応のOSをインストールすることで、英語理解の質・スピードがググっと上がります。
シンプルな学習法だから、取り組みやすい・継続しやすいのもうれしいポイント!
単語・文法を、実際の英文を通じて学ぶことができる
2つ目の根拠としては、「単語・文法を、実際の英文を通じて学ぶことができる」という点があげられます。
単語帳・文法書での学習が「社内研修」だとしたら、音読は「実地研修」となるでしょうか。
社内研修でマニュアルを一通りアタマに詰め込んでいたとしても、現場に出るとマニュアルでは対応しきれないシチュエーションに遭遇します。
ボクはよく、単語帳とは若干異なるニュアンスで使われている英単語を見て、その英単語の根幹にあるイメージをつかむことがあります。
文法も同じです。
文法書では理論を学ぶためにシンプルな英文を通じて基本を学びますが、「実地研修」では複雑な英文の中に潜んでいる文法事項を見つけ出すトレーニングを積むことができます。
こうした点については、当然「黙読」でも一定の効果がありますが、やはり声に出して読んだ方が記憶に残りやすい、というのがボクの感想です。
単語帳で覚えたことなんて「氷山の一角」にすぎないことを痛感します。
「実地研修」を通じて、意識的に英文の「量を消化する」ことが大事ですね!
学び直しにおける「量の不足」の解消
3つ目としては、「学び直しにおける『量の不足』の解消」があげられます。
上記2点については英語学習全般に言えることでしたが、この3点目については社会人の学び直しにおいて特に大きなメリットだと思います。
日々の英語学習において、「まとまった勉強時間を確保することが難しい」という悩みを抱えている社会人も多いはず。
「英語学習に割くことのできる時間の不足」は、そのまま「英語を読む(聴く)量の不足」につながります。
学生時代には毎日英語の授業があり、1日1つの長文に触れていたわけですが、社会人になるとそうはいきません。
スキマ時間を使って単語を覚えたり、文法書を進めたりすることはできても、一定の量の英文にコンスタントに触れる機会を確保し続けることは難しいでしょう。
ボク自身、学び直しに取り組み始めたころ、「なかなか英語脳に転換できない」「スラスラと英文を読み進められない」という時期を経験しました。
その時は「年齢的に脳の記憶力・読解力が落ちてるのかな」という程度にしか考えていなかったのですが、学生時代と学び直しの英語学習を比較して、浮かび上がってきたのがまさに、「量の不足」でした。
「音読」はこの問題も解消してくれます。
ボクは毎日音読に取り組んでいますが、1日あたりの所要時間は15~20分程度。ある一定の分量の英文を1日5回読むことにしているので、それほど時間はかかりません。
ホントに時間がない時は午前に2回、午後に3回という感じで分けて行うこともできますし、移動時間に電車・バスの中で周りの迷惑にならないよう、ボソボソ読むこともあります。
多くの時間を要する学習法とは異なり、ちょっとした時間で、たくさんの英文に、効果的に触れることができるのです。
どんな分野でも、量をこなすことは上達に欠かせない要素です。
音読は忙しい社会人が「一定の量の英文に日常的に触れる」点でも有効な学習法だと言えるでしょう。
質・量を兼ね備えた学習法・音読…。最高じゃん…。
音読については以下の記事にまとめてるよ。よかったら参考にしてね!
英語の学び直しでおすすめの勉強法・学習プラン
英語の学び直しでおすすめの勉強法・学習プランは、次の6つです。
自分だけの目標を立てる
英語の学び直しに取り組む方の多くが「TOEICで目標スコアを達成する」「日常英会話ができるようになる」といった感じで目標を設定しています。
あなたもすでに自分の目標を持っているかもしれませんね。
ボクがおすすめしたいのはそうした目標に加えて「自分にしかない目標を持つ」ことです。
TOEICのスコアのように世間的に評価される指標とはかけ離れたものでOKです。自分の欲求・本心に正直な目標を立てることが効果的だと思います。
ボクが英語の学び直しに取り組み始めたときには、「TOEICで高得点を取る」という目標を立てましたが、学習が進むにつれて、試験のための勉強だけでは息苦しさを感じるようになってきました。
そこで、YouTubeで海外のVlogを観たり、ネトフリで海外ドラマを観るなどして、勉強以外の側面から英語に触れる機会を増やしたのですが、その中で英語を副業に生かす方法を解説する動画に出会いました。
英語でお金を稼ぐことはもちろん簡単なことではありませんが、好きな英語を仕事にできるかもしれないということにワクワクしました。
そして、そのことが息苦しさを感じていた日々の英語学習を、意味のあるものに感じさせてくれたのです。
TOEICの単語帳に出てくるひとつひとつの単語が、自分の将来につながっているような感覚でした。
「ネトフリの好きなドラマを字幕なしで観たい」「好きな俳優・歌手の話を通訳を介さずに理解したい」など、ちょっとミーハーなものでよいと思いますし、むしろその方が勉強のモチベーションアップにはつながるかもしれません。
人間、自分の欲求と目標が一致したときには、努力が苦痛でなくなり、楽しみながら勉強に励むことができます。
結局、「お金を稼ぎたい」とか「モテたい」みたいな欲求ほど、とんでもないエネルギー・努力量を生み出すものです。
あなたも、「英語を使って何をしたいのか」「英語を通じてどうなりたいのか」を掘り下げて考えてみるとよいでしょう。
ボクは英語上級者になって、女の子にモテた…、仕事の多角化につなげたいです。
心の声が漏れちゃってるんだよなぁ…。
「最低限これだけやればOK」をあらかじめ決めておく
学習プランを立てるうえで、「最低限これだけはやる」というものを決めておくのも効果的だと思います。
学習を始める前にはやる気もありますし、はりきっているので「あれもやらなきゃ、これもやろう」といった感じで、たくさんのノルマを設定しがちです。
ですが…、続かないですよね。(笑)
ボクも初めに立てた計画は壮大なモノでしたが、やはり仕事が立て込んだり、急用が出来たりして、どうしても計画通りにいかない日が増えるようになりました。
そこで、学習プランを「最低限これだけやる」という視点で立て直すことにしました。
具体的には英単語帳のノルマを設定し、それだけ消化すればOKというプランに切り替えたわけです。
こうすることで、「最低限さえクリアすればよい」ということで気が楽になりましたし、単語学習しかできなかった日でも「しっかりとノルマはクリアしたぞ」といった感じで、その1日をポジティブに振り返ることができるようになりました。
勉強を継続させるという意味ではとても効果的な方法だったと思います。
「最低限」は毎日続けても苦じゃない分野・分量を設定しましょう。
「オンライン講座を1コマ」とか「シャドーイング30分」とか、その時々の必要性に応じて決めるのもいいかも!
メンター(助言者)を持つ
日々英語学習に取り組むうえで、英語の知識や勉強法を学ぶことができるだけではなく、自分の学習意欲を高めてくれるメンター(助言者)と出会うことも大きな効果があると思います。
あなたもこれまでの人生で経験があるかもしれませんが、「この人みたいになりたい」「この人の言うことなら心から信じられる」という指導者に出会うと、自分の予想を超えるスピードで能力がアップしていきます。
ボクは高校生のときには英語がまったくできない落ちこぼれでしたが、予備校での1年間で英語の成績が急上昇しました。
その原因として、心から信じられるメンター(助言者)との出会いが大きかったと思います。
そして、このことは英語の学び直しにも当てはまります。
単に英語上級者であるばかりではなく、人間的にも尊敬できるようなメンターに出会うことができれば、日々の英語学習のモチベーションになり、結果的により短時間で、より確実に、より楽しく英語力を高めることができるはずです。
ボクは英語の学び直しに際して、先ほども少し紹介しましたが、脳科学者の茂木健一郎さんの情報発信に着目しました。
詳しいことはまた別の記事でまとめたいと思いますが、彼の英語学習や英語そのものに対する考え方、さらには英語を超えて、世の中のモノゴトに対する考え方に強く共鳴できたからです。
ボクがあなたにおすすめしたいのは、単に英語の能力がすごいというだけではなく、人間的に尊敬できる人をメンターとして持つことです。
人間的に尊敬できる人のアドバイスであれば、その人の発した言葉を疑うことなく、素直な気持ちで聞き入れることができ、そのことが能力の急上昇につながります。
毎日の英語学習の指針となるメンターを探してみるとよいでしょう。
茂木さんの情報発信は「理論」と「体験」に基づいているので、本当に説得力があります。
茂木さんのように多くの情報発信をしている人をメンターに選ぶといいかも!
インプットの割合を“できるだけ”高く維持する・インプットから逃げない
具体的な学習法ではありませんが、全体的な方向性として「インプットの割合を“できるだけ”高く維持する」ということも大切だと思います。
最近は「アウトプットが大切」というハナシをよく聞きます。
英語の学び直しに取り組む人の中には、早い段階から英会話教室に通うなどアウトプットに重きを置く方も少なくありません。
ですがボクは英語学習においては、インプットの方が圧倒的に重要だと思います。
ボク個人の体験だけでは心許ないと思うので、ここでは有識者の英語学習に関する情報発信の中からインプットの重要性に関するハナシを紹介したいと思います。
大学教授・翻訳者として活躍する橋本大也さんは、その著書『英語は10000時間でモノになる』の中で「インプット仮説」という学説を紹介しています。
インプット仮説とは“語学学習においては書かれた言葉や話された言葉を「読む」「聴く」ことが言語能力の向上の(ほぼ)すべてだ”とする、インプットを非常に重視する説です。
橋本さんはアウトプットももちろん重要だとした上で、「インプットが9、アウトプットが1」で良いと結論付けています。
大量にインプット(読む・聴く)をこなして、アウトプット(話す・書く)はインプットを通じて身につけた知識を試す程度で構わないそうです。
ですが、ここで一言付け加えておきたいのは、インプットと言っても、ただひたすら単語や文法事項を暗記するということだけではありません。
20カ国語を話せるというスティーブ・カウフマンさんは【多読多聴=たくさん読んで、たくさん聴く】こそが英語上達の王道だと話しています。
例えばあなたが読書が好きなのであれば、いつも読んでいる日本語の本を英語に置き換えてみるといった方法があります。
また、ドラマやYouTube等で観る動画を英語のモノに置き換える方法も有効でしょう。
インプットの割合を“できるだけ”高く維持すると言いましたが、「できるだけ」という点もポイントです。
自分が苦痛になる・英語が嫌になってしまうラインを超えない程度にインプット量を高めることを意識してみてください。
インプットからは逃げられん。何事も基礎が肝要じゃ!
※当ブログは、たまに英語の神様が降臨します。
※単語学習については以下の記事にまとめてあります。よければどうぞ。
単語は徹底的に、文法はほどほどに
引き続きインプットの話になりますが、英語学習において基礎となるものはやはり、単語と文法になるでしょう。
学び直しにおいてもやはり、単語と文法なしには英語力アップにつなげることはできません。
自分の学び直しで感じたのは、単語(ボキャブラリー)は徹底的にやる必要があるということ。その一方で、文法はほどほどでよいと思います。
ボクはTOEICである程度の成績をとることができたので、「試験のための英語」から離れ、「実践的な英語」に移りました。
そこで感じたのは「結局、英語は単語力だ」ということです。
これは大学受験を終えたときにも感じたことです。
受験を終えて、ある程度英語力に自信を持っていたボクは大学入学後、書店で英語雑誌を手にとってみましたが、まったく読めずに自信を失ったことがあります。
TOEICで900点を取った後にも、手にとった洋書に目を通してみましたが、同じようにあまり理解できないという経験をしました。
両者に共通しているのは、「試験のための単語力では、ホンモノの英語の世界では太刀打ちできない」という点です。
学び直しにおいてあなたがどこに目標を置いているのかにもよりますが、試験の先も視野に入れているのであれば、英単語は長い目で見てじっくりと取り組む必要があります。
そのために、TOEICや英検の学習を通じて、少しずつ単語力をつけていくのはとても良い方法だと思います。
その一方で、英文法はほどほどでよいと感じました。
これは「英文法は適当でいい」と言いたいわけではありません。そもそも日本では英文法をやりすぎだと思うのです。
受験英語には受験英語の良さがありますし、間違いなく英語力アップの基礎になるとは思います。
ただ、英語の学び直しにおいては、受験の時ほど細かい文法知識は必要ありません。
受験英語の問題点は、本来は英語理解のためのツールにすぎない文法が「目的化」してしまっていること。
例えば、日本語の現在完了・過去完了といった役割名ばかりが目立っていて、それらを英語を理解するためにどのように活用するのかは後回しになっています。
英語を理解するうえで必要なのは、現在完了であれば、過去に起こったことが現在に影響している・続いているという本質的なイメージをつかむことです。
中学・高校ではそのような本質的な理解はないがしろにして、「have + p.p.=現在完了だ! ~してしまった、と訳すんだ!」と機械的に暗記させられるだけです。
これでは意味がありません。
英語の学び直しではこのような点から、英文法は本質的なイメージをつかみさえすれば、細かな文法事項は無視してもいいぐらいだと思います。
本質的な理解はそっちのけで、細かいことばかりやらされる学校教育って何なんでしょうか?
確かに…。学び直しでは本質をつかむことに重点を置くべきですね。
※文法の中で重点的に学習すべきだと思うのは構文。構文の学習については下の記事に詳しくまとめてあります。
努力の“見える化”
勉強を継続するうえで効果的なものとして、「自分の努力を“見える化”」する方法があるでしょう。
「学習記録をSNS・ブログ・日記に残す」「ボロボロになったテキスト・単語帳をとっておく」「書きとったメモ・ノートを保管して積み上げていく」など、さまざまな方法があります。
ボクはシャドーイング学習の中で、ディクテーション(聴き取った音声の書き取り)を行っていたので、その書き取りメモを残しておき、自分の積み上げを“見える化”しました。
また、自分が試行錯誤したことをこのブログで発信してきたので、ときおり振り返ってみて日々のモチベーションアップにつなげています。
TOEICスコアが思うように伸びない時期や、なかなか単語を覚えられずネガティブになってしまう時などに、こうした積み上げを目にすることで自分自身に励まされるわけです。
まじめな人ほど、できなかったことやマイナス面に目が行きがちですよね。
そうならないためにも、自分の努力を日常的に感じ取れるようにしておき、メンタルを健全に保つ工夫は欠かせません。
あなたも自分が喜ぶ“見える化”を始めましょう。
ボロボロになった単語帳って、愛着が湧くんだよなー。
書き込んだり、手垢が付いたり。自分だけの1冊ですもんね!
英語の学び直しを通じて得られる体験・メリット
英語の学び直しを通じて得られる体験・メリットとしては、次の3つがあります。
学びの本質に出会える 【英語“を”学ぶ → 英語“で”学ぶ】
学び直しのメリットとして最初に紹介したいのが「英語“を”学ぶ」から「英語“で”学ぶ」に切り替えるということです。
これは再三紹介している茂木健一郎さんがおすすめしていることなのですが、英語というのはそもそも意思を伝えるための「道具」にすぎません。
「道具」というものは、それ自体が目的として存在するのではなく、ボクたちの生活を豊かにするために存在しているわけです。
日本では多くの人が、英語の試験の点数や偏差値を上げることを目指して勉強に取り組みますが、これは「道具」を揃えることにばかり一生懸命になっていて、「道具」を使いこなす段階にまで達していません。
もちろん、TOEICや英検を目標に英語学習に取り組むことは素晴らしいことですが、英語を本来の用途である「道具」として使いこなすことを目標にしてみるのが、「学び直しならでは」だと思うのです。
知識は寝かしたままにするのではなく、活用してこそ価値があります。
自分の好きな英語“で”自分の好きなジャンルをとことん勉強する。
これこそ、勉強のあるべき姿ではないでしょうか?
ボクは歴史が好きなので、歴史を扱った洋書を読むことが多いのですが、時間を忘れて没頭してしまいます。
また、このブログを運営していることもあり、ライティングスキルやWebデザインに関する洋書なども読みます。
知識を得ることでこのブログをより良いものにできる、という実益があるので、勉強という意識すらなく、楽しく取り組むことができます。
あなたも自分の「好き」を、ぜひ英語“で”学んでみてください。
道具を使うことで、道具が洗練されていく・足りない道具を把握できるといったメリットもあります。
相互作用があって、より効果的ですね!
英語以外にも知識欲が湧いてくる・知識量が増える
メリットの2つ目としてあげられるのが「英語以外にも知識欲が湧いてくる・知識量が増える」という点です。
ボクは英語学習の一環として英語の「多読」に取り組んでいるのですが、英語の学び直しに取り組む前と比較して、読書量が2倍、3倍になりました。
「多読」の本を選ぶときには、「英語のレベル」よりも「自分の興味のあるジャンル」「好奇心をそそられる内容」を基準にしています。
そのせいか、英語の読解力にあわせて、明らかに知識量が増えているのを感じます。
また、英語で1冊の本を読み終えると、それに関連するジャンルの本にも興味が湧いてくることがよくあります。
先日は、日本史についてまとめた洋書を1冊読み上げたのですが、そうすると今度はその時期の欧米の出来事や流れも学びたくなりました。
ひとつの知識を得ることで、「芋づる式」に興味が湧いてきて、それを英語“で”学ぶわけです。
英語力を高めつつ、知識を増やしていく。学生時代にはあまり経験できなかったメリットと言えるでしょう。
多読は「勉強」という感覚がないから、楽しいですね!
学校じゃないから、自分の楽しめるものだけをチョイスしましょう!
世界が広がる・可能性が広がる
当然と言えばそれまでですが、「世界が広がる」「可能性が広がる」ことも欠かせないポイントです。
英語を読める・聴けるようになるだけで、全世界の人とコミュニケーションが取れるようになります。
【海外に行って現地の人と話す】というようなものから、【YouTubeで観ることのできる動画の幅が広がる】・【読むことのできる本の選択肢が増える】など、多岐にわたります。
また、【英語でブログ執筆や動画配信をする】・【海外市場を相手に英語を通じて副業をする】など、英語の学び直しが人生を変えるきっかけとなる方もいることでしょう。
ボクは日本という国が大好きですし、日本人であることに誇りを持っていますが、日本という国はこれから先、経済的には衰退していきます。
そこで、日本国内の市場から海外の市場へと活躍の場をシフトすることは必須だと思いますし、経済的な意味で「脱日本」をすることが、「収入を増やす→税金をたくさん納める→日本のためになる」という流れを生み出すと思います。
そのためのキーとして、やはり英語は欠かせません。
詳しくは別記事にてまとめようと思いますが、これからの時代は「英語を学ぶ」ということが、ひとつの生存戦略になりえます。
そして、一昔前のように「完璧な英語」を手に入れる必要がないことも大きな特徴ではないかと思います。
AIや翻訳ツールを併用することで、「そこそこの英語力」があれば十分にコミュニケーションが取れるでしょう。
また、英語が非ネイティブ間のコミュニケーションツールとして使われている現状を考えると、もはやネイティブだけの「完璧な英語」というものが存在しない時代なのかもしれません。
アジア人が話す英語、南米人が話す英語、アフリカ人が話す英語は、発音などを見ると、英語圏の人々から見ると決して正確な英語ではないかもしれませんが、正確でなくとも、もう世界中にそうした英語が溢れています。
日本人は文法も、発音も「完璧な英語」を求めがちですし、英語学習にも高いハードルを設定しますが、そうした世界の現状を考えると、気軽に英語学習に取り組んでみる方がいいと思います。
これからの時代を生きていく上で、英語の重要性が上がる一方で、コミュニケーションツールとしての英語力の難易度はこれまでのどの時代よりも低くなっていく。
ボクはそのように考えています。
英語で世界を広げることが、自分の人生の可能性を広げるんですね。
日本人が豊かであり続けるために、英語はひとつの解決策になりうると思います!
まとめ:英語の学び直し=コンバージェンス(融合)
いかがだったでしょうか。英語の学び直しにおける効果的な学習法について、自身の体験をもとにお話ししました。
さて、ボクは先日、1冊の本を読みました。『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』という本なのですが、この中に英語学習にも通じる興味深い内容がありました。要約すると以下のような内容です。
われわれはこれからの100年で2万年分の技術変化を経験することになる。それは、これからの1世紀で農業の誕生からインターネットの誕生までを2度くりかえすほどのことだ。
2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ
ボクたちはこれからの時代、身をもって「とてつもないスピードの『変化』」を経験していくことになります。
そして、筆者は「とてつもないスピードの『変化』」の原因として、「コンバージェンス(融合)」をあげています。
技術の進歩や新たな素材・物質の発見、情報通信の発達などそれぞれの分野が猛スピードで『変化』していき、さらにそれが融合することで、とてつもないスピードになる。
「コンバージェンス(融合)」には非常に大きな可能性があります。
そして、このことは個人の成長・スキルアップにも通じるように思います。
ボクの場合は、「英語が好きだ」という軸に「英語で仕事をしたい」「英語を通じて収入を得たい」という目的が融合して、日々の英語学習が加速しました。
「A」というエンジンひとつのスピード感と、「A」「B」というふたつのエンジンに突き動かされたスピード感は全く異なります。
多くの場合、学生時代には「受験」という目標しかありません。エンジンひとつしかないわけです。
ところが英語の学び直しでは、エンジンを2つも3つも搭載することが可能です。
学生時代のキュークツな縛りから解放されて、英語を早く、深く、楽しく学ぶことができます。
そして、このスピード感・充実感こそが先ほどお話した、「学びの本質」の正体なのではないかと思います。
この記事があなたの英語学習にとって役立つものであったなら、とてもうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※TOEICの勉強法については、下の記事にまとめてあります。よければどうぞ。