今回はTOEICの単語帳として多くの学習者に愛されている「キクタンTOEICシリーズ」について、実際に使ってみた感想をシェアしたいと思います。
「キクタンTOEICシリーズ」には目標スコアごとに500 / 600 / 800 / 990の4冊に分かれていますが、ボクは800/990の2冊を愛用しました。
TOEICでの単語学習は英検などと比べると、「量」を覚える必要はそれほどありませんが、音とつなげて覚えることや複数の意味を覚えておくことなどが求められます。
そのためには音声面の機能が充実していること、1つの単語を多角的に分析していることなどが必要です。またTOEICの出題形式に沿ってまとめられていることも外せないですよね。
結論から言うと、本書はそういった点を高い水準で満たしている単語帳だと感じました。
個人的にたくさんのおすすめポイントがあった一方で、「ここは改善してほしいなぁ」と感じたポイントもあったので正直にレビューしたいと思います。
今回の記事は次のような方にオススメです。
- TOEICの勉強をはじめるので、自分に合った単語帳を知りたい。
- 「キクタンTOEIC」のおすすめポイントを教えてほしい。
- 「キクタンTOEIC」のマイナスポイントってある?
- 「キクタンTOEIC」のおすすめ学習法を知りたい。
この記事を書いた人
ヒラク
TOMOSU BLOG 運営者・執筆者
早稲田大学政治経済学部政治学科卒 / TOEICスコア 現在920点
キクタンTOEICのおすすめポイント
本書を使ってみて感じたおすすめポイントは次の6つです。
- 1日あたり16見出し語、学習量をアレンジしやすい
- 単語の意味、例文がTOEIC仕様
- 各単語がTOEICのどのパートで出題されやすいか記載
- 同意語・反対語の記載が充実している
- レイアウトの統一感
- 音声アプリが使いやすい&音声ダウンロードにも対応
1日あたり16見出し語、学習量をアレンジしやすい
本書は1日あたりの学習量を「見出し語16個」に設定しています。1冊を1日16個×70日で1周する設定になっているわけです。
1日あたりの学習量を少なめに設定していることで、授業・アルバイトのある学生や、仕事と両立しなければならない社会人でも無理なく学習することができますよね。
また、平日は1日分を確実にこなして、土日は3日分を消化する、といったように自分の学習ペースに合わせてアレンジしやすい設計になっています。
1回のノルマが「16」で固定されているので、さまざまな学習設定が可能です。
16個っていう設定が絶妙なんだよなぁ。ホントにアレンジしやすい!
単語の意味、例文がTOEIC仕様
単語の意味をTOEICで問われるものを優先して表示しているのも大きな特徴の一つです。
例えば【slip】という単語は、通常であれば【滑る】という意味が最初に掲載されていますよね。
ところが、本書ではTOEICで問われやすい【(質などが)悪化する】という意味を最初に大きく掲載しています。
また、各単語に1つずつ付属している例文もTOEIC仕様です。
基本的にTOEICのPart1では、4つの選択肢が現在進行形の英文で提示されます。それに合わせて本書では、Part1で問われやすい単語の例文はすべて現在進行形で掲載されています。
例えばPart1で頻出の【grocery(食料雑貨類)】という単語の例文を見てみると「The woman is carrying groceries(女性は食料雑貨類を運んでいる)」といった感じです。
単語を機械的に覚えるのではなく、より本試験のスコアにつながりやすい形で覚えられるのもうれしいポイントです。
細かいところまで「対TOEIC」を意識しているのが、うれしいポイント!
各単語がTOEICのどのパートで出題されやすいか記載
上でも少し触れましたが、本書の見出し語にはすべて、TOEICのどのPARTで出題されやすいかが記載されています。
例えばリスニングパートで問われる単語であれば「アクセントや発音記号にも目を通しておこう」といった対策ができますし、リーディングパートで問われる単語であれば「複数の意味を覚えよう」といった意識で学習できます。
また、「TOEIC800」に出てくる【reach】という単語を見てみると、Part4で問われやすい意味として【①(電話などで)~と連絡を取る】が掲載されていますが、その後に、【(reach forで)~を取ろうと手を伸ばすーこの意味ではPart1で頻出】と書かれています。
1つの単語の中でも、出題されやすいPartに応じて意味を掲載しているのも大きな特徴と言えるでしょう。
TOEICの出題パターンは固定的。日常的に使う単語帳でそのパターンを知れるのはGOOD!
同意語・反対語の記載が充実している
同意語・反対語がしっかりとまとめられているのもおすすめポイントの1つです。
ボキャブラリーを増やすうえで大切なのは、同意語・反意語をまとめて覚えることです。
が、単語帳によってはあまり関連語がまとめられていなくて、自分でイチイチ書き込まなければいけないモノがあります。
本書は同意語・反対語が丁寧にまとめられていて、その点も好印象でした。
さらに言うと、「TOEIC800」であれば、「TOEIC800」のレベルの範囲内で該当する関連語がまとめられているので、学習者の負担が増えるということはありません。
細かい工夫がされていて、学習者にとってはうれしいポイントだと感じました。
キクタンは「単語のネットワーク化」に最適な単語帳ですね!
レイアウトの統一感
レイアウトの見やすさも本書の特徴です。
ひとつひとつの単語が均等に配置されていて、非常に見やすい作りになっています。
また、見出し語ひとつにつきフレーズが2つ、例文が1つ(熟語の場合はフレーズ1つ、例文1つ)で統一されていて、見出し語当たりの分量もほぼ統一されている点も学習しやすい作りになっています。
単語帳によってはページをめくるたびにレイアウトが異なっていたり、分量にバラツキがあったりします。
このような統一感のない単語帳だと、見にくいことはもちろんですが、学習計画が立てにくかったり、目が疲れてしまい長時間の使用ができなかったりします。
本書はデザインがシンプルですので、毎日学習を続けていく上で便利だと思います。
毎日使うものだから、レイアウトはホントに大事!
音声アプリが使いやすい&音声ダウンロードにも対応
音声の機能も充実しています。特にアプリの使用感がGOODでした。
本書に対応しているアプリは、出版元のアルクがリリースしている「booco」というアプリなのですが、機能面・デザイン面の使いやすさに加え、アメリカ英語・イギリス英語の両方で収録されていることなど、クオリティーの面でもおすすめできる内容となっています。
基本的に1つの単語を「アメリカ英語→日本語訳→イギリス英語」の順番で読み上げていきます。
日本語訳があることで、単語帳が手元にない時でも学習できますし、「目で見る」という手段に頼らずにボキャブラリーとリスニングを鍛えることができるので、個人的にはプラスポイントでした。
パソコンに音声ファイルをダウロードして使うことも可能です。すでに本書を持っているという方は、ダウンロードは以下のアドレスにアクセスの上、書籍名か商品コードを入力して検索してください。
アプリは以下の「booco」というアプリです。
アプリまで使い勝手がいいなんて…。至れり尽くせりじゃん…。
キクタンTOEICのマイナスポイント
次に個人的に感じたマイナスポイントを紹介します。好みの問題もありますが、ボクが感じたのは次の3つです。
- 余白が少ない
- 関連語には発音記号がない
- 熟語が固まっている
余白が少ない
まず、マイナスポイントとして感じたのは、単語帳全体を通じて「余白が少ない」ことです。
この「余白」は、それぞれの単語と併せて覚えておきたい知識を書き込むためのスペースです。
先ほども紹介したように、本書は同意語・反対語はしっかりとまとめられているので、あまり関連語を書き込む必要はありませんが、それでも個人的に書き込んでおきたいことがある場合があります。
例えば、意味的なつながりはないけれど頭の中でまとめて覚えておきたい単語や、例文中に出てきた知らない単語の意味を書き込むスペースがあると、より効果的な学習ができますよね。
特にボクは単語帳にあれこれと書き込むタイプなので、「もうちょっと余白があればなぁ」と感じました。
まぁ、これは個人差ありますね。単語帳に書き込まない人は気にしなくてOKです。
関連語には発音記号が無い
関連語に発音記号が無いのも残念でした。
スペースに限りがあるので、「関連語の発音記号まで書いてられない」というのが実際のところだと思いますが、やはり単語の意味と音をつなげて覚えておくことが重要なので、もったいないなぁと思います。
次の改訂の際にはぜひ、すべての単語に発音記号をつけてもらえるとありがたいです。
音声聴く時間がない or 音声聴ける環境じゃないときに、発音記号ついてると便利なんだけどなぁ。
熟語が固まっている
熟語がまとまって掲載されているのもマイナスポイントでした。
例えば、「キクタン TOEIC 800」で言うと、Day 1~Day 70の全70パートのうち、最初の51パートが単語、後ろの19パートが熟語といった構成になっています。
パート数に違いこそあれ、500/600/990も前半→単語、後半→熟語という構成は同じです。
これは学習する方のそれぞれの好みにもよるでしょうが、ボクの好みで言えば、熟語パートを散らしてほしかったなぁと感じました。
単語と熟語を交互に回す方が、変化があって楽しいですし、モチベーションが下がりにくいからです。
逆に単語パートと熟語パートをキッチリ分けてほしいという方にとってはプラスポイントになるでしょう。
個人的には、熟語連チャンはキツイなぁと感じました。まぁ、これも好みですね。
キクタンTOEICのおすすめ学習法&使い方
それでは、キクタンTOEICのおすすめ学習法と効果的だと思う使い方を紹介します。
以下で紹介する方法はすべてボクが実際にやってみて有効だと思った方法です。
あなたの学習スタイルに合わせて取り入れてみたいと思えるものがあれば、参考にしてみてください。
回転率を意識した学習
単語を暗記するうえで回転率をあげることが重要なのはよく言われることですが、本書は特に高い回転率でまわせる単語帳だと思います。
上にあげた画像の通り、本書はCheck1(単語+意味)→Check2(フレーズ)→Check3(センテンス)の3つに分かれています。
単語帳の1周目はCheck3までしっかり学習するのがよいと思いますが、2周目以降すでに覚えている単語はCheck1に目を通すのみにして、どんどん回転率を上げていく方法がおすすめです。
回転率が上がることで、自分の忘却スピードを上回る学習ができるので、このCheck3まで分かれているのはいいなと思います。
単語帳のつくりが高い回転率を支えてくれるのは助かりますね!
出題されやすいPartを必ず確認
先ほど紹介した通り、本書では各単語にTOEICの本試験で出題されやすいPartが記載されています。
TOEICはしっかりとした英語力が必要とされる一方で、ある程度出題形式がパターン化されていて、テクニックで解ける問題もあります。
単語に限っていえば、リスニングパートで出題される単語は「音」を意識した学習。リーディングパートで出題される単語は「意味・関連語・品詞(派生語)」を重視した学習が有効です。
本書は単語ごとに出題されやすいPartを明記してくれているので、そういった出題パターンを意識しながら学習することで、より確実にTOEICでのスコアアップにつなげることができるのです。
特にリスニング頻出単語の「音」を押さえておくのが重要かと思います!
アプリの音声をうまく活用する
上にあげたおすすめポイントの通り、本書は音声の面でも素晴らしい単語帳です。「キクタン」という名前の通り、音声学習でも高い学習効果が見込めます。
日本語訳がついているので、音声のみで学習することが可能で、例えば家事をしながらとか、寝る前にベッドに入ってちょっとだけ、といったようなリスニング学習ができます。
ボクは仕事などであまり単語帳の学習に時間を割くことができなかった日に、スキマ時間を使って音声を聴くようにしています。
普段は「目で見る」学習ですが、「耳で聴く」学習をすることによって、また違った角度から単語を覚えることができるので、暗記効率も上がるような気がします。
生活が不規則だから、アプリをうまく活用しなきゃ。
TOEIC対策の講座や問題集と併用する
TOEIC対策の講座や問題集との“上手な”併用も効果的な学習法です。
ここで“上手な”併用と言うのは、本書にアウトプットをたくさんこなせる講座・問題集を組み合わせて使うということです。
単語帳の学習は「インプット」に分類されます。TOEICに限りませんが、インプットとアウトプットの両方を適切な比率で組み合わせることが効率的な成績アップにつながります。
単語帳で覚えた知識をアウトプットの充実している講座や問題集を使って、しっかりと定着させていくことが重要です。
ボクはオンライン講座では「スタディサプリTOEIC対策コース」を、問題集では「TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問」を使用していますが、どちらも問題量が多く、クオリティも高いので非常に効果的な学習ができています。
「講座・問題集」を通じて「Part5で出題されるのはわかっていたけど品詞問題で出やすいな、派生語もしっかり覚えよう」といった感じで、「講座・問題集」が「キクタンTOEIC」の学習をサポートしてくれるのです。
キクタンに質の高いアウトプット教材を掛け合わせることで、ググっとスコアもアップします!
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キクタンTOEICでの学習はこんな人におすすめ!
本書での学習をおすすめしたいのは次のような方です。
- 多くの学習時間を確保するのが難しい&生活のリズムが一定でない人
- 短期間でTOEICのスコアアップにつなげたい人
- 600点、800点を確実に取りたい人
- 関連語もまとめて暗記したい人
- 受験生のときに「単語列挙型」の単語帳を使っていた人
多くの学習時間を確保するのが難しい&生活のリズムが一定でない人
先ほども紹介しましたが、本書は1日あたりの学習量を見出し語16語と少なめに設定しています。
多くの学習時間を確保するのが難しい人でもスキマ時間を使って消化できる量です。
また、生活のリズムが一定でない人でも「16語」というベースを基に、その日の学習時間に応じて簡単にアレンジできるのも便利です。
学生も社会人もみんな忙しいですからね。みんなにおすすめってこと!
短期間でTOEICのスコアアップにつなげたい人
本書のおすすめポイントでも書いた通り、本書は細かいところまで「TOEIC仕様」となっています。
本書でひととおり学習した後にTOEIC本試験形式の問題を解いてみるとわかるのですが、本書で覚えた単語がバンバン出てきます。
見出し語だけではなく、優先して掲載してある単語の意味や、出題されやすいPartなど、正直言ってビックリするほど本書の掲載通りに出てきます。
短期間で確実にTOEICのスコアアップを狙っている方には特におすすめです。
TOEIC特化型でかつ、これだけのクオリティの単語帳は他にないと思います!
目標点数を確実に取りたい人
本書は難易度別に500/600/800/990の4冊に分かれています。
そして、学習してみて感じたのはキクタンTOEIC 800にはしっかりと800点を取るのに必要な単語が収録されているように感じました。
800点を目標にしているのであれば、「キクタン TOEIC 800」の収録語をしっかりと覚えれば、ボキャブラリーに関してはそのレベルに達することができます。
「そんなこと当たり前だろ!」と思うかもしれませんが、単語帳によっては「800点取れます」と謳っていながら、簡単な単語しか収録されていないモノが結構あります。
本書の編集部のTOEIC研究の確かさは信頼できるものだと感じています。
単語のランク付けに意図が感じられますね!キクタンが支持を得ているのも納得!
関連語もまとめて暗記したい人
これも先ほど紹介したポイントなのですが、関連語がしっかりとまとめられているので、同意語や反対語もまとめて覚えたいという人にはうってつけの単語帳だと思います。
また、関連語の意味もTOEICで出題されやすいものから優先して掲載してくれているので、本当に細かいところまで気を配って作成されていると感じます。
さらに言うと、関連語ではありませんが、スペルが似ている単語と混同して覚えないように「一言メモ」が付されているのもよいです。
例えば、【ensure:~を保証する】という単語には【insure(~に保険をかける)と混同しないように注意】というメモが付いています。
ボクたち学習者が単語帳を何周もまわして「ensureとinsureは似てるから気をつけよう」と認識する、そのプロセスを先回りして指摘してくれているので、その点も効果的です。
先回りして学習者の負担を軽減してくれるので、暗記率も上がります!
受験生のときに「単語列挙型」の単語帳を使っていた人
単語帳には①単語列挙型、②フレーズ型、③長文型の3つに分類できますが、本書は①の「単語列挙型」に該当します。
単語がズラーっと並んでいて、例文が1つついているタイプですね。大学受験などで使用されるもので言えば「ターゲット1900」や「Stock4500」などが該当します。
受験生時代にこのタイプの単語帳を使用していたのであれば、本書での学習にも違和感なく入れると思います。
ワタシも「単語列挙型」を使ってました。単語帳はベタandシンプルでいい、という人におすすめ!
まとめ
いかがだったでしょうか。
実際に学習してみた経験をもとに、オススメポイント・マイナスポイントを紹介しました。
いくつか改善してほしい点はありましたが、個人的には非常によい単語帳だと思いましたし、購入して大正解だったと思っています。
ボクは現在もTOEIC満点を目指して学習中なのですが、TOEIC対策のメインの単語帳としては今回紹介した「キクタンTOEIC」を使っています。
TOEIC特化型の内容や回転率の高さを考慮すると、スコアに直結しやすいですし、上でも紹介したようにその日のスケジュールに応じて学習スタイルをアレンジしやすい点が、学習を継続していく上で大きなメリットになっています。
主観的な話ばかりになってしまいましたが、あなたの英語学習に少しでも参考にしてもらえる部分があったなら、とてもうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。