【計画を立てる前に】大学受験において大切な戦略と環境、そして最も大切なルール

これから受験勉強に取り組もうとしているあなたのまわりには、たくさんの情報があふれていることと思います。

「あの予備校だとA先生よりもB先生のほうがわかりやすい」「定番の参考書より、最近出た参考書の方がいいらしい」など、ひとつの講座・1冊の参考書を選ぶだけで目が回ってしまう、という方も多いのではないでしょうか。

こちらの記事ではそんなあなたに、受験勉強をはじめるにあたって戦略を立てることの重要性や学習環境の大切さについて、ボクの体験も交えながら、お話していきます。

受験勉強をはじめる前に知っておくと参考になると思いますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

なお、「戦略」という言葉は「戦術」という言葉と対比されて用いられることの多い用語ですが、この記事ではおおまかに「大学合格のために必要な方法・考え方」といったニュアンスで使っていますので、あらかじめご理解ください。

アシスタント

こちらの記事は、次のような方におすすめです。

  • 受験勉強にとりかかろうとしているのだが、何から手をつけてよいかわからない。
  • 受験勉強の計画を立てるにあたって、何が大事なのかを知りたい。
  • 講座や参考書を選ぶときに、いろんな情報に振り回されてしまう。
  • 講座や参考書を決めたのだが、別の講座・参考書も選んだ方がいいのか気になる。

この記事を書いた人

ヒラク

TOMOSU BLOG 運営者・執筆者

地方の公立高校から1年の予備校生活を経て、早稲田大学政治経済学部政治学科合格。

目次

【大学受験の戦略】「何をするか」ではなく「何をしないか」

なぜ、あなたは受験勉強に取り組むのですか?」と聞かれたら、何と答えますか。

答えは「志望する大学に合格するため」ですよね。

「そんなこと当たり前だろ!」という声が聞こえてきそうですが、実は受験勉強をはじめるにあたって、この「○○大学(←あなたの志望する大学)に合格する」というゴールをまず認識することが大切です。

なぜか?

それは、ゴール地点を定めることによってはじめて、受験勉強の戦略を立てることができるからです。

そして、ボクはこの「戦略」が大学合格へとつながる第一歩だと思っています。

多くの受験生は、戦略を立てていないか、あやふやな戦略しかない状態で受験勉強をはじめます。

ゴールは決まっているけど、そこにどういうルートで、どのような手段を使ってたどり着くのかを決めないまま走り出しているのです。

これはとても危険なことです。

努力が結果に結びつきにくくなるばかりか、努力したことが水の泡になる可能性すらあるのです。

そのことを次の歴史上のできごとをもとに説明してみたいと思います。(以下の話は、ボクがある方から教えていただいた戦略に関する話を大学受験に置き換えて説明します。)

戦国時代のはじめ、当時、弱小大名にすぎなかった織田信長は、かの有名な「桶狭間の戦い」で自分よりも大きな勢力であった今川義元を破ります。

信長は、自分たちの領地にズカズカと踏み込んできた今川を追い返すことに成功しました。

今川義元は命を落とし、息子の今川氏真が跡を継ぐのですが、この息子が、まぁわかりやすく言えば「バカ息子」だったわけです。

父親の仇も取らず、毎日貴族の真似事をして遊んで暮らしていました。

この氏真の姿を見て、長年、今川に味方してきた武将たちの中には織田に寝返るものも出てきました。流れが信長の方に傾いていったのです。

ここでみなさんが信長の立場だったらどうするでしょうか。

いっきに今川を攻めて、今川の領土を手に入れる」というのがベストな方法のように思いませんか?

当時の今川の領土は広大です。その土地が手に入れば、信長は弱小大名からワンランク上の大名になれるでしょう。

そして、その今川のトップは「バカ殿」で、部下の気持ちは離れていっているのです。こんなチャンスめったにないですよね。

ですが、信長は今川を攻めませんでした。

なぜか?

信長にとってのゴール地点が「天下統一」だったからです。

今川を倒し、その領土を手に入れると、当時強大な勢力を誇っていた武田信玄と北条氏康の2大大名と国境を接することになります。

武田・北条という大勢力と小競り合いを続けながら、天下統一のための力をつけていくというのはおそらく不可能ですし、可能であるにしても時間がかかるでしょう。

今川を滅ぼして、一時的に勢力を拡大できても、「天下統一」というゴール地点からは遠ざかってしまうのです。

そこで、信長は「今川を攻めない」という戦略を立てます。

戦略の図解。
今川を倒すと、武田・北条という「余計な敵」が増える。

今川をクッションとして残しておき、東から武田・北条が攻めてこないようにしたわけです。

また万が一、今川が攻めてきたときの対策として、松平(のちの徳川家康)と手を組んでおきます。東側に壁をつくっておいたと言えるでしょう。

そうして信長は、北と西に攻めていきます。東には今川・松平という壁がありますから北の美濃攻め・西の伊勢攻めだけに集中できたわけです。

ここで信長に登場してもらってまで伝えたかったポイントは、信長は今川を「攻めることはできた。けど攻めなかった」ということです。

やろうと思えばできる。けど、やらない。

これが受験勉強において、最も大事な戦略になります。

「あの参考書も気になるなぁ。けど、やめておこう」「あの講座も評判いいなぁ。けど、自分には必要ない」というように。

この戦略がない受験生は、「志望校に合格する」というゴールに必要ないどころか、ゴールから遠ざかってしまうような勉強法を選択してしまいます。

「あの参考書もやらなきゃ」「この講座も取ったほうがいいかな」とプラスアルファばかり考えます。

1冊の参考書をはじめたばかりなのに友達が使っている参考書にも手を出したり、よく考えもせず口コミで評判が良かった講座を片っぱしからとったりしている受験生は、あなたのまわりにもきっといるはずです。

こういう受験生は、いわば「今川を倒せそうだから、倒しちゃった」状態です。

たくさんのテキストや参考書に囲まれて一時的に勉強をしているような雰囲気は味わえるでしょうが、「不要な参考書や講座武田や北条という余計な敵」を相手にしてしまい、「志望校に合格する(天下統一)」というゴールからは遠ざかっているのです。

あなたはこうなってはいけません。

まずゴール地点を決める。

そのゴールに到達するために「何をするか」ではなく「何をしないか」を考える。

そして、しないと決めたものには手を出さない。

ほかの受験生より使っている参考書は少なくていいのです。とっている講座も少なくて構わないのです。

必要最低限のものを、誰よりも深く理解している受験生が合格できるのです。

3冊の英単語帳をコロコロ変えてあやふやに覚えた受験生ではなく、1冊を完璧に仕上げたあなたが合格するのです。

シンプルなことですが、このことをしっかりと意識している受験生はそう多くはないでしょう。

とある英語学習者

「する」と「しない」の間に、明確に線を引くことが大切ですね。

ヒラク

はい。この線引きをしっかりすることが受験勉強の第1歩です。

【大学受験の環境】悪影響を及ぼすものから距離を置く

ボクの予備校生時代には、自分と同じ高校からやってきた何人かの同級生がいました。

みんな高校時代にはお互いの存在を知ってはいたけれど、特に仲がいいというわけでもありませんでした。

しかし、予備校に入ると同じ高校卒ですから、昼休みにみんなで食事をとったり、帰り道に勉強の進み具合を話したりしてすぐに仲良くなります。

ところが、その中のひとりに、いわゆる「参考書マニア」のA君がいました。彼もボクと同じように早稲田大学を志望していました。

A君はいつも、どこで仕入れたのかわからないけれど、「あの参考書はいい」「この参考書はダメ」と詳しい情報を持っていて、予備校の講師や講座の情報もよく知っていました。

そして、あまり成績が良くないのに、予備校に入っていきなり「早慶上智対策」の講座を受講していました。

ボクは1学期は基礎を固めようと思い、すべて基礎的な講座しかとっていなかったのですが、彼はそんなボクを見て、「なぜ早稲田を目指してるのに、そんな簡単な授業受けてるの?」と言い、自分が持っている難しそうな参考書を、ボクにも勧めてきました。

ボクは彼と距離を置くようにしました。

1年後、ボクは第一志望の早稲田大学に合格できました。A君は不合格でした。

ここで言いたいのは、「俺の方が正しかった」とか「うさぎと亀だとやっぱり亀が勝つんだ!」などということではありません。

友人関係も含め、学習環境を整えることの大切さです。

まじめで優しい人は、心の中では違和感がありながらも、A君の勧める講座をとったり、参考書を買ったりしてしまいます。

自分の意思ではないにせよ、合格から遠ざかる勉強法にハマってしまっているのです。

ゴールに必要なことだけに集中しましょう」と言いましたが、そのゴールに必要なことだけというのは、参考書や講座だけではなく、環境や友人関係も含みます。

かの有名なジョン・レノンは次のように語っています。

「正直でいることは、必ずしも沢山の友人を持つことにはつながらない。しかし常に真の友人を持つ事につながる。」

自分の受験勉強に最適な環境、お互いを高めあえる友人関係に身を置くようにしましょう。

そして、時にはひとりになる勇気を持ち合わせておくとよいかもしれません。

とある英語学習者

確かに…。勉強って最終的にはひとりで取り組むべきことですもんね。

ヒラク

ひとりになる勇気を持つことは、受験でも人生でも大切なことだと思います。

【戦略×環境】受験勉強でいちばん大切なこと

受験勉強における「戦略」「環境」について、ボクの思うことをお話しました。

以上のことを踏まえたうえで、受験勉強を総合して考えたときに、一番大切なことについて掘り下げたいと思います。

ボクが受験勉強に取り組むときに、一番大切だと思うのは「本質にフォーカスする」ということです。

戦略では「自分のゴール地点を見極め、そこにたどり着くために必要なことだけをする」というハナシをしました。

環境では「自分の周りの人間関係を見極め、マイナスになる関係性を断つ」というハナシをしましたね。

両者に共通するのは、「本質を見極め、そこにだけ集中する・不要なものを排除する」ということです。

受験勉強の特徴は、「時間が限られている」ということです。5年も10年もかけるようなことではありません。

時間が有限ということはつまり、余計なものに足を引っ張られているヒマがないということです。

信長も、天下統一まで100年かけていいのであれば今川を攻めていたかもしれませんが、時間がないという認識を持っていたからこそ、本質だけに集中するという選択をしたわけです。

では受験生にとって、本質とは何でしょうか?

これは、あなたの志望校だったり、受験本番までの残り時間によって答えが変わってくるかもしれないので、ハッキリとさせることは難しいですが、少なくとも「本質でないこと」はわかるでしょう。

例えば、上にあげたような「参考書選びにこだわる・時間をかける」ことは受験勉強の本質ではありませんよね。

A君が参考書選びに時間をかけている間に、合格を果たす受験生は単語を覚えたり、問題演習を重ねたりしていたわけです。

さらに英語学習で言えば、英語の本質は「発音」ではないということも言えます。

音読やシャドーイングで発音のウマいヘタにこだわる必要はありません。

発音なんてどーでもいい。

日本語で考えるとよくわかります。

東京の言葉(発音)だけが価値が高いわけじゃないですよね。それぞれの地域の方言にも豊かな伝統があり、高い価値があります。

3歳の子供がたどたどしい発音で思いを伝えようとしている、あるいは来日したばかりの外国人がカタコトの日本語でコミュニケーションをとろうとしている。それだって素晴らしいことじゃないですか。

言葉の本質は、発音にはない。

音読でもシャドーイングでも、本質は「英語という言葉を自分の体にしみ込ませる」ということにあります。少なくともボクはそう思っています。

受験生時代、ボクの周りで成績を伸ばしていった人はそういう「本質を見極めていた人たち」です。

参考書や発音といった本質とズレたところで「あーでもない、こーでもない」と言っていた人たちで、成績が伸びたという人をボクは見たことがありません。

そして、今になって思うのは「本質にフォーカスする」ということは、受験勉強だけではなくて、人生においても一番大事だということです。

今の時代、「本質ではないこと」が溢れています。

芸能人のスキャンダルひとつとってもそうです。

ああいう「どーでもいいこと」が世の中で注目を浴び、メディアをにぎわせ、SNSで話題になる。

人生だって時間に限りがあります。

そういう「どーでもいいこと」に振りまわされている間に、人はあっという間におじいちゃん・おばあちゃんになってしまう。

本質にフォーカスしている人は「どーでもいいこと」とは距離を置き、人生を実りあるものにしていきます。

だから、今のうちから「本質にフォーカスする」ことに真剣に取り組んでおいた方がいい。

学歴のためとか、社会的評価のために受験勉強があるのではありません。

あなたのこれからの人生にプラスの影響をもたらすために、受験勉強があるのです。

受験勉強は人生に必要なトレーニング。ボクはそんな風に思います。

ヒラク

ボクの周りで「本質を見極める力」を持つ人は、受験勉強や部活に一生懸命取り組んだ人が多いです。

とある英語学習者

受験も部活も、限られた時間の中で、必要なトレーニングだけに集中する必要がありますね。

まとめ

いかがだったでしょうか。

時代に逆行しているかもしれませんが、ボクは個人的に、何かを勉強するときや、何かにチャレンジするときに「根性」や「ガムシャラさ」というものは、ある程度必要だという考え方です。

でも、その「根性」や「ガムシャラさ」の背景には、緻密な戦略が必要だとも思います。

戦略がないと、努力したのに目標を達成できなかったり、努力がいつのまにか違った方向に向いてしまって、最初に設定したゴール地点とはかけ離れたところにたどり着いたりしてしまいます。

世の中には、努力したのに報われなかったということはいくらでもあります。むしろ報われることより、報われないことの方が多いと言っていいかもしれません。

まだ若いあなたにも、そんな経験があるかもしれません。「部活で一生懸命練習したけど、ずっと補欠だった」とか「大好きなあの人に振り向いてもらえるように努力したけど、全然ダメだった」とか。

ですが、ボクは大学受験は「努力したら報われる可能性が極めて高い」ものだと思います。

それは基準が明確だからです。みんなが同じ試験を受けて合格点を取るか取らないかの、この上なく公平なレースなのです。

そして、そのレースに勝つ可能性をより高めてくれるのが、これまで話してきた「戦略「環境」、そして「本質」なのです。

データには表れませんが、アタマの良し悪しではなく、戦略の有無が受験生の合格・不合格をわけることだって多いと思っています。

この記事を読んでくださったあなたは、本質の大切さをしっかりと認識したうえで、受験勉強に取り組むことが可能です。

これだけで、大きなアドバンテージを手にしたと言ってよいでしょう。なぜなら、受験生のなかにはこの重要性を知らないまま、ただやみくもに走っているだけの人もいるからです。

そして、受験勉強に入ってしばらくしてから、不安になったり、人の意見にひっぱられたりしそうになったりしたら、あらためて「本質にフォーカスすること」を思い出してください。

もう一度、地に足をつけて歩き出すことができるはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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