受験英語に取り組むにあたって、まずはじめに用意しなければならないのが単語帳ですよね。
単語帳は受験勉強の期間中ずっとあなたのそばにいる、いわば「相棒」なわけです。
「相棒」を選ぶわけですから、色々な情報を参考にしたいところですが、世の中には単語帳選びの情報があふれています。
「単語帳のおすすめ 30選!」なんて言われると、選択肢が多すぎて、逆に混乱しませんか?
今回はそんなあなたに、ボクの視点でおすすめの単語帳を、絞りにしぼって3冊ご紹介します。
実際に書店をめぐり、たくさんの単語帳を見比べて、内容を確認したうえで選んでみました。
ボリュームがある記事ですので、お時間がない方は、目次より気になる箇所にスキップしてご覧ください。
この記事はこんな方におすすめです。
- これから単語帳を買いに行くので、選ぶ際のポイントを知りたい。
- とにかくシンプルで見やすい単語帳が欲しい。
- 内容がコンパクトにまとめられている単語帳を知りたい。
- 1冊で難関大学にまで対応できる単語帳を探している。
- 長文や音源を通じて単語を覚えるのではなく、シンプルに単語・例文で暗記したい。

この記事を書いた人
ヒラク
TOMOSU BLOG 運営者・執筆者
地方の公立高校から1年の予備校生活を経て、早稲田大学政治経済学部政治学科合格。

大学受験の英単語帳をおすすめするうえで重視したポイント

今回、大学受験における単語帳をおすすめするにあたって、重視したポイントは次の6つです。
ボク個人の好みも含まれますが、多くの受験生が単語帳に求めるポイントとそう変わらないのではないかと思います。
- デザインがシンプルであること
- 内容が必要最低限であること
- その人の学習方法にフィットすること
- 同義語・反対語・派生語などがまとめられていること
- 大学受験のスペシャリストが作成した単語帳であること
- 1冊で自分の志望校の試験に対応できること
デザインがシンプルであること
上にも書きましたが、単語帳は、受験英語において1番と言っていいくらい、長い時間をともにする「相棒」です。
ですので、長時間見ていても、目が疲れず、見やすいデザインであることが求められます。
必要以上に色分けされていたり、装飾があったりといったことは「単語を覚える」というプロセスにおいて必要ありません。
また、ある程度、単語が均等に配置されているのも重要ではないかと思います。
こっちの単語にはたくさんの意味・説明が記載されているが、あっちの単語には少しだけ、というのではなく、おおよそ「一語一義」ですべての単語が均等に並んでいると、デザインとしても見やすいつくりになっています。
ですので、初めて単語帳を手にして、パっと開いたときに、自分がどう感じるのか。いわゆる「ファーストフィーリング」が単語帳を選ぶうえで重要な要素だと思います。
内容が必要最低限であること
単語帳の内容が必要最低限で、コンパクトであることも重要な要素です。
当たり前の話ですが、単語帳と辞書の役割は違うのです。辞書のように単語の意味すべてが掲載されているなかから、単語帳の作成者が大学受験に必要な要素だけをピックアップしたものが単語帳であるはずです。
それは、「どの単語をピックアップするのか」という面だけではなく、「どの意味をピックアップするのか」ということも含みます。
その「ピックアップする」という作業に、作成者のノウハウや経験があらわれるのです。
意味をズラーっと並べて、「これ、覚えてね」というのでは、限られた時間しかない受験生には迷惑でしかありませんよね。
ですので、「必要な単語の、必要な意味だけがピックアップされている」単語帳が、受験生にとってよい単語帳であると言えます。
その人の学習方法にフィットすること
単語をどのようにして覚えるのか。ひとつひとつの単語を単体で覚える人、長文の中で覚える人、はたまた付属の音声を聞いて覚える人など、さまざまだと思います。
あなたの学習法によって、必要な単語帳のタイプも分かれてきます。
ボクは、ひとつひとつの単語を単体で覚えるタイプだったので、選んだ単語帳には長文ものっていなかったですし、CDもついていませんでした。この上なくシンプルな単語帳を使っていました。
今回は、「ボクのおすすめ」ということですので、長文や音源ではなく、単語と例文の組み合わせで覚える学習法に最適な単語帳という視点で選びましたので、ご理解ください。
単語帳を選ぶ前に、自分がどのような方法で単語を覚えていくのがよいのか、じっくり考えてみると、おおまかな選択肢は浮かび上がってくるでしょう。
同義語・反対語・派生語などがまとめられていること
ボクが単語を覚えるうえで意識していたことは、「1つの単語(例えば動詞)が出てきたら、その名詞形も形容詞形もいっしょに覚える」ということです。
例えば、【suggest(~を提案する)】という動詞を覚えるときには、その名詞形【suggestion:提案】や形容詞形【suggestive:示唆的な】もワンセットにして覚えるようにしていました。
普通に考えて、【suggest(動詞形)】・【suggestion(名詞形)】・【suggestive(形容詞形)】をバラバラに覚えるのは非効率ですよね。
同じように同義語や反対語などもワンセットで覚えたほうが、効率がいいですし、記憶の定着を高めてくれます。
上にもあげましたが、ここでも大事なことは、「受験に必要な同義語・反対語・派生語だけがピックアップされている」ということです。
必要以上に派生語が掲載されている単語帳は、デザインのところで書いたように、「単語それぞれが均等に配置されていない」状態になっています。
「デザインが優れている単語帳」=「同義語・反対語・派生語が受験に必要な分だけピックアップされている単語帳」と言えるでしょう。
大学受験のスペシャリストが作成した単語帳であること
ボクが単語帳をおすすめするうえで重視したポイントのひとつに、その単語帳を「誰がつくったのか」ということがあげられます。
つまり、「大学受験のスペシャリスト」が関わっている単語帳であることが重要だと思ったのです。
単語帳の中には、大学の教授が執筆しているものがありますが、ボクはこのタイプはおすすめしません。
英単語に限らず、大学受験において必要なことは、「受験に必要な知識を覚えること」だからです。
受験に必要な知識を提供できるのは、大学の研究室にいる教授ではなく、大学受験の現場にいる人ですよね。
その意味で、単語帳を選ぶときに選択肢としてあげるポイントのひとつとして、「大手予備校がつくっている」「受験の現場にいる高校教師や予備校講師がつくっている」という視点を持っておくとよいと思います。
今回ご紹介する3冊もすべて「大学受験のスペシャリストが執筆している」という条件を満たしています。
また、「複数のスペシャリストが作成に関わっている」単語帳もポイントが高いと言えます。
一人だけの片寄った視点ではなく、複数の人の視点でつくられているほうが、やはり単語帳としての信頼性は高いはずです。
単語帳を選ぶ際は、「執筆者の欄に何人の名前がのっているのか」を見てみるのもよいかもしれません。
1冊で自分の志望校の試験に対応できること
単語帳の学習で、大事なことのひとつに、「1冊の単語帳を極める」ということがあげられます。
2~3冊の単語帳をあやふやに暗記するのではなく、1冊の単語帳を固めることが重要なのです。
ボクが受験生だったときには「早稲田大学に合格する」という目標があったので、「早稲田大学の試験に1冊で対応できる単語帳」を選びました。
単語帳によっては、初級編・上級編など、同じシリーズで複数出版されているものがあります。
その単語帳の多くは、初めのほうに「高校1・2年レベルから中堅私大まで」とか「共通テストから難関国公立・私大まで」といったように、対応するレベルが記載されていますので、自分の目標に合わせて選ぶとよいと思います。
今回は主に「共通テストから難関国公立・私大まで」という基準で選んでいますのでご注意ください。
【大学受験におすすめの単語帳①】英単語ターゲット1900
英単語ターゲット1200 | 英単語ターゲット1400 | 英単語ターゲット1900 | |
レベル | 受験準備 | 共通テスト~中堅私大 | 共通テスト~国公立二次試験・難関私大 |
見出し語の数 | 1200語+中学レベル200語+熟語300語 | 1400語 | 1900語 |
音声 | 無料公式アプリ、ダウンロード | 無料公式アプリ、ダウンロード | 無料公式アプリ、ダウンロード |
英単語ターゲット1900のよい点
時代は変われど、定番のものはいつの時代も選ばれ続けますよね。「単語帳の定番を1冊だけあげなさい」と言われたら、多くの人が英単語ターゲットシリーズをあげるでしょう。
ボクが予備校に通っていたころにも多くの受験生に愛された1冊でしたし、実際に周りでも使っている受験生が多かったです。
そのうえで、ボクがこの単語帳をおすすめするのは、単語帳選びのポイントにことごとく合致するからです。
この記事では、ボク個人の視点からおすすめの単語帳をあげていますが、どの時代であれ、どんな人であれ、受験生が単語帳に求めるポイントというのは、大きくは変わらないのではないかと思います。
上記のような特徴を持つターゲットシリーズが定番として愛用されているのが、何よりの証拠ですよね。
定番があなたにとっての大当たりかどうかは断言できませんが、大ハズレはないということだけは言えると思います。
また、①のポイントに関連して、1単語につき1つの例文が掲載されているのですが、その例文もすべて入試の過去問から選ばれています。
細かいところまで、大学入試に的を絞っている点も、受験生に愛される理由ではないかと感じました。
あなたが単語帳を選ぶ際には選択肢のひとつとして検討してみることをおすすめします。
英単語ターゲット1900の悪い点
イラストもないですし、著者のワンポイントアドバイスのような“ちょっとした小話”的な部分もありません。
学校の教科書を開いたときのような、すこし堅苦しい印象を受けました。
正直、これほど完成度の高い単語帳だと、悪い点をあげるのは難しいのですが、よい点の裏返しとして、オーソドックスすぎるという点があるでしょう。
それでも、めちゃくちゃいい単語帳ですけどね(笑)。
【大学受験におすすめの単語帳②】英単語Stock4500
英単語Stock3000 | 英単語Stock4500 | |
レベル | 高校基礎~共通テスト | 高校標準~難関私大・国公立2次 |
見出し語の数 | 1528語 | 2155語 |
音声 | 無料アプリ・ダウンロード | 無料アプリ・ダウンロード |
英単語Stock4500のよい点
英単語Stock4500は4500と銘打ってはいますが、実際の見出し語は2155語ということですので、他の多くの単語帳と分量は変わらないと思います。
デザインがシンプルであること、受験のスペシャリスト(スタディサプリの英語講師)が執筆していることなど、単語帳選びのポイントに一致する点が多かったことがおすすめする理由ですが、それに加えてこの単語帳ならではの良い点があったので、上にあげた3つのポイントに絞って紹介します。
①過去に出題された単語に加えて、今後出題が予想される単語も掲載。
過去のデータを分析するということは、世に出ている単語帳すべてが行っていることだと思いますが、Stock4500は、今後の出題が予想される単語も掲載しています。
出題パターンの多様化に伴って、時事にまつわる英作文を書かせる問題や、最近あったタイムリーな出来事に関するリスニング問題を出題するパターンなど、過去の分析だけでは対応できないケースも増えてきているでしょう。
このStock4500では、そのような傾向も踏まえて、過去と未来、両方を分析して単語をチョイスしています。
②「頻度順」ではなく「問題形式別」に掲載している。
単語帳の多くが、過去の入試において出題された頻度順に単語をランク付けしています。
もちろんこの方法もひとつのやり方ではあるのですが、こうした分け方は受験生に対して、頻度が多い単語=重要、頻度が少ない単語=あまり重要でないという誤解を与えているように思うのです。
ある一定以上の大学の場合、過去に入試ではそれほど問われなかった、単語帳の後ろのほうに出てくる単語も当然のように出題されます。
Stock4500は頻度順ではなく、「出題パターンごと」にカテゴリ分けしています。具体的に言うと「文法問題で出題される単語」「読解問題で出題される単語」「リスニングや英作文で出題される単語」といった感じです。
ボクは単語帳にのっている単語すべてが受験英語の基礎であるという考え方です。頻度が多い単語だけが基礎だとは思っていません。
ですので、Stock4500のようなカテゴリ分けは、ボク個人としては受験生に適していると思います。
③単語ごとに記憶の定着を助けるコメントが記載されている。
単語を覚える際に「単語のスペルを見る→意味を覚える」と機械的にできればいいですが、人間なかなかそうはいきませんよね。
なので上にも書いたように、同義語や派生語と関連付けて記憶したり、五感をフル活用して覚えたりするわけです。
それと同じように、ボクが単語を覚える際に重要だと思うのは、「その単語にどんなイメージを持たせるか」ということです。
例えば、「praise(~をほめる)」という単語を覚えるときには、「~をほめる」という意味をしっかり頭に叩き込みますが、それと同時に「praise」という単語に「ポジティブだ・良い感じ」といったイメージを持たせます。
そうして、ひとつひとつの単語に自分の主観的なイメージをなんとなく「ラベル付け」していって、ポジティブイメージの単語を頭の中で関連付けて覚えたり、反対にネガティブイメージの単語(例・「scold」⦅~をしかる⦆)と対比させて覚えたりするわけです。
Stock4500には「記憶ブースター」といって、それぞれの単語に著者の一言コメントがついています。その単語にイメージを持たせる助けとなるとてもよい仕組みだと思います。
英単語Stock4500の悪い点
さきほど、この単語帳は今後の出題も見据えて単語をチョイスしていると言いました。
そのいい面の裏返しになるのですが、今後出てくるであろう単語が掲載されている分、「過去に出題された単語が削られてしまっている」という点があるのかなと思います。
ボクは受験において大事なことは、ほかの受験生が知らないマニアックな知識を知っていることではなく、みんなが知っていることを、自分も確実に押さえておくことだと思っています。
もちろん、今後の出題傾向や時代の流れとして、過去の単語を削って、未来の単語を掲載したことが、大正解だったとなるかもしれません。
ですので、この点について「悪い点だ!」と断言はできませんが、みんなが押さえている単語を自分は押さえられていないというリスクはありえると思います。
また、上にあげた「記憶ブースター」の部分ですが、とてもよいコーナーだと思うのですが、ビジュアル的に少し見づらいなと感じました。
【大学受験におすすめの単語帳③】英単語オプティマ2000 標準編
英単語オプティマ 1600 基本編 | 英単語オプティマ 2000 標準編 | |
レベル | 難易度6段階中1~4段階の単語 | 難易度6段階中2~5段階の単語 |
見出し語の数 | 1600語 | 2000語 |
音声 | ダウンロード | ダウンロード |
英単語オプティマ2000 標準編のよい点
こちらの単語帳は、今回ご紹介する3冊の中で最もマイナーかもしれませんが、その完成度の高さに驚かされました。
タイプとしては、1語につき1つの例文が記載されている「ターゲット1900タイプ」の単語帳になります。
対応レベルについては、はっきりと記載はされていなかったのですが、ボクの手にとってみた印象や、同シリーズで英単語オプティマ1600 基本編という単語帳が出されていることなどから考えて、共通テスト以上に対応していると思います。
特筆すべきなのは、単語それぞれがほぼ均等に配置されていて、レイアウトがきれいである点です。
カラーリングも含め、「とても見やすいな」という印象でした。内容とは関係ありませんが、表紙などもおしゃれです。
内容も含め、単語帳としての完成度はかなり高いレベルにあるように思います。上にあげたポイントを単に満たしているだけではなく、「すべてを高いレベルで」満たしているのです。
ボク自身が受験生のときには、同じく河合塾が出版している「英単語2001」という単語帳を使っていたこともあり、自分の経験上、河合塾の単語帳は質が高く、コンパクトにまとめられているという印象です。
複数の講師が、執筆に携わっている点もボクの中では高ポイントでした。
英単語オプティマ2000 標準編の悪い点
上記のように、ボク個人としてはとても高評価の1冊なのですが、出版が2021年ということで、単語帳の中でもかなり新しい部類に入る1冊です。まだ受験生の間に浸透しているとは言い難いという点があげられると思います。
単語帳はターゲット1900のように、長年にわたって受験生に支持されてきたことが、評価するうえでひとつのものさしになります。
大手予備校の河合塾が複数の講師陣を擁して出版しているので、質は間違いないと思いますが、受験生の信頼が蓄積された定番の単語帳を探している方にはおすすめできないかなと思いました。
また、対応レベルがはっきりしていない点も気がかりでした。
同シリーズの「英単語オプティマ1600 基本編」が2019年に出版、そしてこの「英単語オプティマ2000 標準編」が2021年出版ということで、近い将来「上級編」が出版される可能性もあり、現時点で「この1冊で難関大学に対応できる」とは言い切れないのが残念です。
※対応レベルについては判明次第、こちらの記事にて情報をお伝えします。

まとめ

いかがだったでしょうか。
世の中の英語学習サイトではあまりにも多くの単語帳をおすすめとしてあげていて、これでは逆に受験生は混乱してしまうのではないかと思い、ボク個人の視点で3冊に絞ってご紹介しました。
これから単語帳選びをする方に参考にしていただけるとうれしいです。
単語帳を選んだあとに大事なことは、自分の決めた1冊を信じて、疑わないこと。
そして、その1冊を完璧にすること。
この記事を読んでくださったあなたが、「最良の相棒」と出会い、志望校合格を果たすことを願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
