今回はボク自身が読んできた洋書の中から、多読初心者の方におすすめしたい本を10冊ピックアップしてみました。
この記事を見てくださっている方の中には、資格試験を目標にしている方もいれば、コミュニケーションツールとして英語を学びたいという方もいることでしょう。
目標は人それぞれであっても、「英語力を高めたい」という思いは同じですよね。
ボクは現役の英語学習者として、またこのブログの運営者として、さまざまな学習法をリサーチし体験してきましたが、英語力アップのために最適なのが「読む」ということだと考えています。
実際に、有識者の中にも「多読」の有用性を訴える方が数多くいます。
以下ではまず、【多読の効果】や【取り組むうえでの注意点】について、ボクのこれまでの経験をもとに掘り下げていきます。その後、あなたにおすすめしたい本を10冊に絞って紹介します。
10冊に絞る上で重視したのは、①【レベル】=初心者でも(おおまかに)読めること、②【内容】=実際に読んでみておもしろかったこと、③【ボリューム】=比較的短時間・短期間で読めることの3つです。
ボク自身もまだまだ英語初心者です。
ネット上でおすすめされている本のまとめではなく、あくまでもボク個人があなたに近い目線でチョイスした本の紹介となっていますので、あらかじめご理解ください。
この記事では以下のような情報を知ることができます。
- そもそも多読って何?多読の概念・特徴
- 多読で得られる効果・メリット
- 多読の取り組み方・初心者が注意すべきこと
- 筆者のおすすめ本10選・おすすめ媒体3選
この記事を書いた人
ヒラク
TOMOSU BLOG 運営者・執筆者
早稲田大学政治経済学部政治学科卒 / TOEICスコア 現在920点
英語初心者でもできる!多読の概念とメリット
多読とは?英語学習における基本概念
そもそも「多読って何?」という点を簡単に説明します。
さまざまな解釈があるでしょうが、よく「多読」は「精読」と対比されて取り上げられます。
「精読」は文章の構造や細かい文法を理解しながら読み進めていく方法です。
それに対して「多読」は文章全体の流れをおおまかに理解しながら読む手法です。
“おおまかに理解”という点がポイントで、「多読」においては意味の分からない単語があってもOK、全体としてある程度理解できればOKなのです。
英文を読むときに、ボクたちはどうしても「すべてを正確に理解しなければダメだ」と考えてしまいがちですが、そういう意識を捨てる必要があります。
よくよく考えると、日本語の本を読むときだって「ここよくわかんないなぁ」と感じることってありますよね。
「多読=多く読む」ですので、質よりも量を重視し、たくさん読むことを通じて英文のパターンを認識したり、資格試験では出会うことのない英語表現に触れたりすることを目的として取り組みましょう。
わからない部分を飛ばしちゃうのって抵抗あるんだよなぁ。
多読では飛ばしてOKじゃ!精読学習との意識の切り替えが必要じゃ!
多読がもたらすメリット:初心者向け解説
多読には本当にたくさんのメリットがあるので、ここではボクが個人的に感じた効果を紹介したいと思います。
ボクが多読によって感じた効果は、主に以下の2つです。
英語のパターン認識・英語脳養成
最も大きな効果としては、「英語のパターン認識につながる・英語脳になる」という点があげられます。
最近話題のChatGPTをはじめとするAIは、ディープラーニングと呼ばれる学習プロセスをとっていることでよく知られています。
ディープラーニングとはつまり、膨大な事例に触れることで大量のデータを蓄積し、学習対象のパターンを認識していくプロセスのことです。
多読はこのディープラーニングに似ています。たくさんの英文を読み、少しずつ「英語ってこういうものだ」とつかんでいく学習法です。
ボクのこれまでの経験では、たくさん読むことで脳が英語のパターンを認識していき、脳に英語対応のOSがインストールされるといった効果を感じています。
たくさんの英文に触れているうちに、脳が勝手に英語化していく感覚があります。
量をこなすことで体が覚えちゃう。英語学習に限らず、スポーツなんかでもよく聞くハナシですね!
ボキャブラリーに深みが増す
また、「ボキャブラリーに深みが増す」という点も大きな効果として感じました。
多読では生の英語を通じて英単語に触れることができるので、単語帳で学習した英単語がどのように使われているのかを具体的に知ることができます。
単語帳で学習しただけだと「英単語の表面的な意味を知っている」という状態ですが、多読によって「ボキャブラリーに深みが増す」と言えばよいでしょうか。
例えば、ボクは単語帳の学習で【 devastate 】という単語を「(国・地域など)を壊滅させる」という意味で覚えていました。
ボクの脳内では【 devastate 】=「戦争で国がめちゃくちゃになる・治安が悪くなる」みたいなイメージで定着していたわけです。
それはそれで正しいのですが、多読を通じて、国・地域などのモノ・コトだけでなく、人に対しても使うということを知りました。(人の心を“壊滅する=ボロボロにする”という意味でも使われる。)
「この単語、そういう使い方するのか…」「実際にはこういう文脈で使うんだ」といった感じで、新たな発見がたくさんありました。
多読によって英単語をさまざまな切り口から学ぶことができ、そのことが単語帳での学習にも生かされて相乗効果があったように思います。
ボキャブラリーの“深み”かぁ。確かに単語帳学習に足りない部分だなぁ。
単語帳の学習も大切だから、両者を並行して行うのがベストなのかも。
※多読の効果については、↓こちらの記事で掘り下げています。よければどうぞ!
初心者が英語多読に取り組むうえで注意したい3つのこと
ここではこれから多読に取り組むあなたへ、ボクから3つのアドバイスを送ります。
勉強という意識を捨てる
多読に対する取り組み方としてあなたに提案したいのは、「勉強という意識を捨てる」ということです。
あまり難しいことを考えずに、娯楽感覚で取り組むことが大切だと思います。
ボクは今でも多読を続けていますが、自分の「読みたい」を最優先にしていますし、飽きたら読むのをやめるということもよくあります。
NETFLIXで見始めたドラマがつまらなくて途中でやめるのと同じ感覚です。娯楽なのでそれでいいと思っています。
不思議なもので、同じ「多読」であっても“勉強”という意識が働くと途端に息苦しくなってしまいます。
「気楽に本を手にとり、好きなものだけ読み進める」「途中でやめても罪悪感を感じる必要はない」ということを意識して取り組むことをおすすめします。
ボクは飽き性なので、読むのやめちゃった本が結構あります。あー、これも飽きちゃったー。
このブログ大丈夫かな…。
難易度の高い本にもチャレンジする
もうひとつ、ボクからあなたに提案したいのは「難易度の高い本にもチャレンジしましょう」ということです。
それは、上で話した「パターン認識」のためです。
英語の持つパターンを脳に落とし込むには、「たくさん読む」だけでなく、さまざまなレベル・ジャンルの英文に触れる必要があるからです。
多読初心者だからと言って、いつまでも簡単な英文にしか触れないでいると、多読がもたらす「パターン認識」の効果を得ることにつながりません。
AI が簡単なデータだけをピックアップして、難解なデータは見て見ぬふりをしていたら、その AI の提供する情報は正確とは言えませんよね。
ですので、初心者であっても難しめの英文に触れて、自分の理解力を超えたところにある英文を見ておくことも必要ではないかと思います。
実際に脳科学者の茂木健一郎さんは英語の多読について、初心者がいきなり最難関にチャレンジすることを勧めています。
日本の英語教育のように、「中学ではここまでのレベル、高校ではここまでのレベル」と段階を設けているのが良くないのだそう。
こうした点を踏まえると、英文のレベルに制限を設けていては「多読」の効果が半減してしまうことはわかってもらえるはず。
読書の楽しさが損なわれない範囲で、難しい本にもチャレンジしてみましょう!
多読においては謙虚さ不要です。難しい英文と出会わなければ、成長につながりません。
あれこれ考えず、興味のある本はどんどん読んじゃいましょう!
「多読」がすべてではない
さらに、もうひとつあなたに提案したいのは「『多読』がすべてではない」ということです。
さきほど、多読においては辞書を使わずに読み進め、おおまかに理解できればOKということを話しました。
ですがこれはあくまでも「多読」でのハナシ。当然ですが、英語力アップのための学習法は「多読」だけに限りません。
本の難易度やあなたの興味に応じて、時には辞書を使ってじっくり読み進めるのもよいでしょう。
また、オーディオブックなどと併用して「聴く」「発音する」という学習法をかけ合わせることも効果的でしょう。
ボクは正確な理解が求められる本(仕事関係・お金関係)は必要に応じて辞書を使います。
「多読」は英語学習におけるひとつの選択肢に過ぎないので、そのあたりも柔軟に考え、取り組むことをおすすめします。
「多読」「精読」「音読」など、読む学習法だけでもいろんな選択肢がありますね!
1冊の本をまずはザっと読む(多読)、次にじっくり読む(精読)っていう読み方も効果的。新たな発見もあったりして面白いですよ!
初心者におすすめ!英語多読に最適な洋書10選
あなたにおすすめしたいのは、以下の10冊です。
Short Stories in English for Beginners
初学者の「最初の1冊」におすすめなのがこちらの『Short Stories in English for Beginners』。
使用されている英単語は中学レベルのものばかりで、イラストもあり、スラスラ読める。
多読でまず必要なのが「はじめの1冊を読み切る」ということ。
こういう本だと「簡単だけどつまらない」ということがありがちだけど、本書は読みごたえもしっかりある点がGOOD!
本書を足掛かりとして、「多読の旅」を始めましょう!
イラストや注釈もついているので、初心者でも安心!
The Elephant Man
難易度別にレベル分けされているGraded Readersの中からおすすめしたいのが『The Elephant Man』。
中高生でもサクサク読めるレベル。Oxford Bookworms LibraryシリーズではLevel 1と最も易しい難易度。
頭部が肥大化していることにより、見世物として扱われ辛い日々を過ごしていた主人公が、ある医師との出会いにより人生の転機を迎える。
モノではなくひとりの人間として、人と出会い、美しい景色を眺める時間。
ところが、そんな幸せも長くは続かず…。
辛く悲しい人生。だからこそ、短い時間の“幸せ”が強烈な光彩を放っている。
読みやすい英文でありながら、とても奥深いストーリー。人生における「ある一瞬」の重さを感じます。
Inspector Logan
こちらもGraded Readersの中でLevel 1に分類されている『Inspector Logan』。
女性警察官である主人公が、とある失踪事件に向き合うストーリー。
失踪した女性の足跡を追っていった主人公は、一人の男性を突き止めるが、事件は思わぬ方向に展開していく。
英文自体は易しめでありながら、物語の世界を彩る英語表現がバリエーション豊かな印象。
同じ主人公でlevel 2・3に続編があるので、サスペンス好きな方はそちらもおすすめ。
警察モノならではの重厚感アリ。シリーズ化されている点も多読学習者にとってはうれしいポイント。
Wonder
世界中で高い評価を得た児童書『Wonder』。
遺伝子疾患により顔に重度の障害を持って生まれた少年が、10歳にして初めて一般の小学校に通うようになる物語。
映画化もされ、アマプラ・NETFLIX等で観ることができる。
300ページ余りとなかなかのボリュームだが、児童書なのでサクサク読める。
物語の世界に引き込まれ、「普通って何だろう?」ということを考えさせられた。
感動やきれいごとだけでは終わらない深い、深い物語。
多読向けとして多くの方が推奨している1冊。そのストーリーは言葉の枠を超えて、ボクたちの心に響きます。
Tuesdays with Morrie
モリー先生とかつての教え子との「最期の講義」をつづったノンフィクション『Tuesdays with Morrie』。
かつての恩師・モリー先生が難病ALSに侵され、死の床にあることを知ったミッチは、毎週火曜日に先生のもとを訪れることを許される。
そこで行われたのは、モリー先生の人生最期の講義。
愛すること、生きること、そして死ぬこと。
「死」を意識することで、「生」が起ち上がってくるのだと感じた。
対話形式で書かれており、英文レベルも易しめで読みやすい。
モリー先生の飾らない語り口によって、ひとつひとつの言葉がスッと胸に入ってきます。
Animal Farm
ジョージ・オーウェル著『Animal Farm』。
動物たちが反乱を起こし、自分たちの社会を作り上げるという物語だが、実際には独裁政治・腐敗した国家体制を風刺する内容。
まさに「大人向けのおとぎ話」といったところ。
政治をありのままに描くことで生じる弊害を、寓話、それも動物に仮託することで避けている。
動物の物語だからこそ、本質が見えてくる。
英文は易しめで読みやすいが、背後に潜んでいるメッセージは大人向けの深いテーマ。
動物たちが理想社会を築こうとするけど、指導者の豚が独裁者になってしまうというストーリー。当時のソ連がモデルみたいです。
The Giver
厳密に管理された未来社会が舞台の『The Giver』。
12歳の誕生日に行われる「職業選択の儀式」で、主人公ジョナスは「記憶保管者」という特別な役割を与えられる。
過去の記憶・経験を保管する訓練の過程で、ジョナスは安全で完璧に見える今の社会が、本当は空虚なものだと気づく。
真実を知った彼は、管理社会に疑問を抱き、やがて大きな決断を迫られる。
すべてが画一化され、人々はそれに何の疑問も持たず安穏と生きている。現代にも通じる物語。
ところどころ難しい単語や表現もあるが、チャレンジしがいのある1冊。
「常識」とされるものを疑わなければ、人々は均質化されていく。ボクたちにも「ジョナスの視点」が必要なのだと感じます。
The Firm
ジョン・グリシャム著『The Firm』。
ハーバードのロースクールを首席で卒業した主人公は、多くの誘いがある中で、アメリカ南部・メンフィスの法律事務所に就職する。
破格の厚遇で主人公を迎え入れた法律事務所だったが、その事務所には裏の顔があり…。
英文は比較的易しめで、多読初心者向き。法廷シーンなどもなく、法律用語も出てこない。
またストーリー展開が早く、飽きることなく物語の世界に没頭できる。
大人が楽しめる、上質のサスペンス。
自身も弁護士として活動する著者。多くの「法廷サスペンス」を出版しています。
Better Than Before
習慣の力に焦点を当てた本『Better Than Before』。
著者は良い習慣を身につけることで、日々の生活は自動的に改善されていくと主張。
その上で、そうした習慣を身につけるために必要な戦略や、習慣の効果的な維持方法を解説。
自分のライフスタイルを少しずつ、着実に良くしていくためのハウツー本。
高尚な理論ではなく、著者の実体験メインなので内容も理解しやすい。
実用書の入り口としておすすめ!
英文は易しめだけど、かなり実用的。日々の生活に直結できることばかりです!
Who Moved My Cheese
世界的ベストセラー「チーズはどこへ消えた?」のオリジナル版、『Who Moved My Cheese』。
日本語版で読んだことがあるという方も多いのでは?
ジャンルとしては自己啓発本になるが、童話のような親しみやすさもあるので、初心者の方にも手にとってほしい。
読みやすさとは裏腹に、非常に深いテーマを扱っているのも特徴。
変化を恐れるのではなく、変化の渦の中に飛び込んでいく勇気を持つこと。
あなたの背中をそっと押してくれる、そんな1冊。
簡単な英文を通じて、いろいろと考えさせられる1冊。
※おすすめのノンフィクション洋書は、以下の記事にまとめています。
番外編:英語多読をもっと楽しもう!おすすめ媒体3選
ここでは洋書ではありませんが、多読にオススメの媒体を3つ紹介します。
amazon kindle unlimited
多読をするうえで外せないのが、アマゾンの「kindle unlimited」
初めての利用であれば、最初の30日間は無料体験ができるので、お試しで登録してみるのがおすすめ。
2カ月目以降も月額980円と、本1冊の価格で数えきれないほどの本を読める。
普段あまり読むことのないジャンルにも気軽に手を伸ばせるので、読書の幅が広がるのもうれしいポイント。
ハリーポッターのような定番を読める一方で、多読初心者向けのラインナップも充実している。
定額なので、心置きなく「つまらなかったらやめる」ができます。
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英字新聞 the japan times alpha
ニュース記事をスマホやPCで読むのではなく、「紙で読む」ということが、多読の効果をより高めてくれるように感じます。
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絵本ナビえいご
大人になってから読む絵本って、刺さるんだよなぁ…。(遠い目)
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まとめ:英語の多読を楽しもう!どんどん難しいものに挑戦しよう!
いかがだったでしょうか。
ボク自身の読書歴の中から、初心者の方におすすめの多読本をピックアップしてみました。
「ホンモノの英語に触れる」ということを考えた場合、海外留学やホームステイといった手段が考えられますが、日々の仕事・学業や家事を考えると、現実問題として難しいですよね。
そうした中で多読は誰もが実践できますし、「ホンモノの英語」への窓口として、とても効果的な方法です。
サブスクの台頭などもあり、今後ますます「多読」に取り組みやすい環境が整備されていくことでしょう。
ボク自身は多読に取り組んだことで、「試験のための勉強」の外に飛び出すことができたと同時に、「試験のための英語力」では本物の英語の世界では通用しないことを身をもって理解することができました。
多読を通じてさまざまなことが見えてきて、さらに英語学習に対するモチベーションが上がりました。
この記事があなたの英語学習においてもよいキッカケになれたなら、とてもうれしく思います。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。