今回はスタディサプリの英語講師・関正生先生の『関正生のThe Rules英語長文問題集』をレビューしたいと思います。
この問題集は、「構文力」「読解力」「解法力」の3つの力を身につけることを目標にしています。
関先生は多くの受験生がこの3つの力を身につけないまま、「なんとなく英文を読んでいる」と指摘したうえで、この問題集を通じて「確固たるルールに基づいて読み解く」ことができるようになると言います。
実際に書店で購入し、通読してみましたが、受験生にオススメできるポイントがたくさんありました。
反対に、「ここは受験生にとってマイナスかな…」と感じる部分もあったので、感じたことを正直に伝えようと思います。
ボク個人の主観的な感想に加え、客観的なクチコミデータも紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事は、次のような方におすすめです。
- 長文読解の勉強に取り組むので、おすすめの参考書を知りたい。
- 『関正生のThe Rules英語長文問題集』の特徴や使い方を教えてほしい。
- 『関正生のThe Rules英語長文問題集』を使った正直な感想を知りたい。
- 『関正生のThe Rules英語長文問題集』での学習に向いている人はどんな人?
- 『関正生のThe Rules英語長文問題集』と他の問題集との違いを教えてほしい。
この記事を書いた人
ヒラク
地方の公立高校から1年の予備校生活を経て、早稲田大学政治経済学部政治学科合格。
予備校時代には、早慶上智模試で上位獲得経験あり。
『関正生のThe Rules英語長文問題集』の概要・特徴
概要
シリーズ | 4冊 |
レベル | 1 入試基礎・2 入試標準・3 入試難関・4 入試最難関 |
問題数 | 1冊につき12問ずつ |
出版社 | 旺文社 |
↓学習レベル / 問題集レベル→ | 1 入試基礎 | 2 入試標準 | 3 入試難関 | 4 入試最難関 |
入試基礎 | ○ | |||
共通テスト | ○ | ○ | ||
私大標準(日東駒専) | ○ | ○ | ||
私大難関(GMARCH・関関同立) | ○ | ○ | ||
国公立大標準 | ○ | ○ | ||
私大最難関(早慶上智) | ○ | ○ | ||
国公立大難関 | ○ |
特徴
この問題集の特徴は次のとおりです。
- どんな問題でも使える再現性の高いルールを身につけられる。
- 英文の長さにとらわれることなく「優れた英文」を掲載。
- 全文に構文解析がついている。
- 「音読用白文」「ネイティブの音声」など音読学習にも最適。
どんな問題でも使える再現性の高いルールを身につけられる
この『The Rules英語長文問題集』シリーズでは4冊合わせて84個のルールが登場します。
この中には複数回登場するルールもあります。
1つのルールが何度も出てくるメリットとしては、①どんなレベルの入試問題にも同じルールが通用する、②そのルールが登場するたびに復習できる、という点があげられます。
さまざまな難易度の英文や問題に対応できるので、とても再現性が高く、成績アップに直結すると言えるでしょう。
英文の長さにとらわれることなく「優れた英文」を掲載
関先生がこれまで入試問題に向き合ってきた結果、得られた結論のひとつに、「英文の難しさと英文の長さは関係ない」というものがあります。
実際、東京大・大阪大・早稲田大などは例年、短い英文が出題されますが、難易度はかなり高いです。
本書では、長い英文を掲載することでごまかすのではなく、しっかりと英文のクオリティーを見極めて、「優れた英文」のみを掲載しています。
全文に構文解析がついている
すべての文章を構文解析してくれていることも大きな特徴と言えるでしょう。
長文読解が伸びる人とそうでない人との差は、多くの場合、「構文解釈ができるかどうか」の違いがあります。
1文1文をしっかり読むため、また、効率的な音読学習を行うために、構文解釈力は欠かすことができません。
また、ある程度構文解釈力を身につけた受験生でも、すべての文の構文を間違いなく理解することはなかなか難しいと言えます。
その点で、すべての文の構文を解説してくれているのは、受験生にとって非常に役立つのではないかと思います。
「音読用白文」「ネイティブの音声」など音読学習にも最適
この問題集は、読んで、解いたら終わりではありません。
音読に大きな重点を置いていることも、この問題集の特徴のひとつです。
「音読用白文」には、英文を区切って読むべき箇所にはスラッシュを入れて、視覚的にわかりやすくなっています。
日本語訳にもスラッシュが入っていて、こちらもまた、目で見て確認しやすいつくりになっています。
また「音声」の充実も素晴らしいです。特に、スマホアプリでの音声学習は次の2点において、かなり使いやすく、便利です。
- 音声の再生速度を0.5~2.0倍まで0.1ごとに設定できる。
- 3秒送り・3秒戻しが利用できる。
スマホアプリは旺文社の「英語の友」というアプリです。
『関正生のThe Rules英語長文問題集』の使い方
各Lesson毎に目標時間が2つ設定されています。
「試験本番での目標時間」が厳しめの設定、「この本での目標時間」がゆるめの設定です。
自分の実力に応じた目標時間を選ぶようにしましょう。
正解・不正解を確認し、解説を読みます。
とても丁寧な解説です。しっかりと読み込んで自分のものにしましょう。
特に、この参考書のテーマでもある「長文読解のルール」を強く意識して読むとよいと思います。
「文構造の分析」のコーナーで構文解釈と語句の意味をチェックします。
このSTEP3では「読む」ために必要な技術を学ぶことができます。
特に構文解釈は重要ですので、しっかりと理解できていない文がある場合は、構文の解説を読み込んでください。
最後に音読をします。
上記の通り、音読用の白文があるので、そちらを活用するとよいでしょう。
まずは音声を聞いて、正しい発音を確認しましょう。
関先生は目安として、1日5回×6日=合計30回読むことをおすすめしています。
『関正生のThe Rules英語長文問題集』を使ってみた感想
使ってみた感想は以下のとおりです。
- 解説がわかりやすいうえに、コンパクトにまとめられている。
- 音声が使いやすい。
- 英文のクオリティが高く、バラエティに富んでいる。
- 語句の意味までのせているのは、親切すぎるかな…。
解説がわかりやすいうえに、コンパクトにまとめられている
さすがにスタサプの名物講師だけあって解説がわかりやすく、受験生目線だと感じました。
この問題集の解説を通じて徹底しているのは、①実際の入試ではどのように問われるか、②受験生はどういう間違いを犯しやすいかの2点です。
特に①の点はかなり入試問題をリサーチしていることが伝わってきて、だからこそ、それぞれの解説にも大きな説得力があります。
この解説を読むことで、単に「読解力アップ」につながるだけではなく、その先にある「解く力のアップ」、さらには「入試での点数アップ」につながること間違いなしです。
音声が使いやすい・アプリ対応が良い
先ほどから何度も言っていますが、音声面の充実、特にアプリ音源の使いやすさは目を見張るものがあります。
特にボクは受験生時代から英語学習での音読学習をかなり重視してきたので、この問題集が英語力アップに与える影響はかなり大きいだろうなと感じました。
単純にアプリで音声が聞けるだけではなく、そのアプリの使いやすさや機能面での充実はボク個人としては大満足ポイントでした。
英文のクオリティが高く、バラエティに富んでいる
英文のクオリティーが高く、バラエティーに富んでいることも良い点だと感じました。
これは関先生の他の問題集にも言えることですが、最新の入試問題を徹底的にリサーチしていて、これからの出題を見据えて問題集を執筆していることがよくわかります。
そうした背景があるので、学習するうえで「こんな英文読んで、入試での点数につながるのかな?」と感じることがありません。
また、それぞれの英文がアカデミックな内容だったり、タイムリーな時事問題を扱ったものだったりするので、単純に読む楽しさがあり、モチベーションが下がることなく勉強を続けることができます。
語句の意味までのせているのは、親切すぎるかな…
唯一感じたデメリットとしては、単語・熟語の意味まで掲載している点です。
要するに、学習者は辞書を引く必要がないわけです。
このことを多くの学習者はメリットと感じるでしょうが、ボクの経験上、このことは英語学習においてマイナスだと思います。
なぜなら、英単語・熟語は「辞書を引く」という作業を通じて記憶に残りやすくなるからです。
英単語・熟語は、単語帳で見るだけでなく、長文の中で触れたり、文法の参考書で触れたりするなど、さまざまな角度から見ることで頭の中に残りやすくなります。
「辞書で見る」ということもそのひとつなのです。
ですので、古臭い考えかもしれませんが、英語を学ぶというプロセスにおいて、「辞書を引く」という要素は欠かせないと思います。
問題集にすべての意味をのせてくれているというのは、便利なようですが、英語学習のための必要なプロセスを省いてしまっているということになります。
あくまでも個人的な意見ですが、「ちょっと親切すぎるかな」と感じました。
『関正生のThe Rules英語長文問題集』での学習に向いている人
この問題集での学習に向いている人は次のタイプです。
- 単語・熟語、英文法の学習をある程度こなした人
- 長文読解・問題演習を並行して伸ばしていきたい人
- 音読学習にもこだわりたい人
単語・熟語、英文法の学習をある程度こなした人
どんな勉強にも「基礎→応用」というステップがあります。
長文読解の学習は、ある程度単語・熟語や文法の学習を済ませた学習者でなければ、効率的に行うことはできません。
この問題集は長文読解の学習に付け加えて、さらに1歩先を行く「解くためのルールを学ぶ」段階です。
ですので、まだ単語・熟語の学習に手をつけていない、英文法があやふやという方は、まずはそちらの学習に取り組んでからの方がよいと思います。
長文読解・問題演習を並行して伸ばしていきたい人
この問題集には84個のルールが登場すると言いましたが、このルールは3種類に分類されています。
①読解ルール、②解法ルール、③構文ルールの3種類です。
この3種類のルールが順不同で、それぞれの英文の内容に応じて登場しますので、「読む」「解く」のスキルを並行して伸ばしていくことができます。
単語や文法といった基礎力が身についているという前提条件を満たしていれば、「読む」の問題集と「解く」の問題集を別で進めることなく、この問題集のみでOKなのです。
しかも、同じ問題集ですので、「読む」「解く」をより関連付けてスキルアップさせることができ、まさにいいことづくめと言えます。
過去問演習の前に、これらのルールを身につけておけば、いきなり満点をとれるとまではいきませんが、ある程度の手ごたえは感じられるはずです。
その手ごたえがいわゆる「基礎力」です。過去問演習という「応用」の前にぜひこの「基礎力」を養っておきましょう。
音読学習にもこだわりたい人
上記の特徴を紹介したコーナーでも言いましたが、この問題集は「音読学習」を非常に強く意識しています。
特に、アプリでの音声の使いやすさは受験生にとってはかなり高ポイントだと思います。
音読の有用性は今さら述べるまでもないほどですが、音読学習のためのツールがここまで充実している教材はそう多くはありません。
音読は読解力だけではなく、単語・熟語やリスニングなど、すべての英語力の底上げにつながります。
音読学習に重点を置きたい受験生、とりわけスマホを使って音読学習に取り組みたい受験生にはかなり有用な問題集だと言えるでしょう。
『関正生のThe Rules英語長文問題集』と他の問題集との違い
関正生先生は長文問題集として他にも『英語長文ポラリス』シリーズと『英語長文プラチナルール』を執筆しています。
この2つは、『関正生のThe Rules英語長文問題集』シリーズと次のような違いがあります。
大学入試問題集 関正生の英語長文ポラリス
概要
シリーズ | 4冊 |
レベル | 0 基礎レベル・1 標準レベル・2 応用レベル・3 発展レベル |
問題数 | 0 基礎(10題)・1 標準(12題)・2 応用(12題)・3 発展(12題) |
出版社 | KADOKAWA |
特徴
- 最新の入試問題のみを収録。
- 最新の問題を収録しているので、従来の単語帳ではあまり出ていない英単語にも触れることができる。
- 構文解析・音声にもしっかり対応。
『関正生のThe Rules英語長文問題集』シリーズとの違い
- 音声ダウンロードはPCのみ。アプリには未対応。
- 読解ルールの一覧がない。
- なぜこの英文を読むべきなのかについての解説がついている。
大学入試 関正生の英語長文プラチナルール
概要
シリーズ | 長文1冊・発音1冊・英作文1冊・リスニング1冊 |
レベル | MARCH~最難関大学 |
問題数 | 1冊×9題 |
出版社 | KADOKAWA |
特徴
- 予備校での授業の内容を再現している。
- MARCH以上の大学を目指す受験生が対象。
- 「読む」「解く」「書く」を総合的に伸ばすことを目標にしている。
『関正生のThe Rules英語長文問題集』シリーズとの違い
- 読解問題集は1冊だけなので、難易度別に分かれておらず、長文のレベルが難しいものしかない。
- 音声ダウンロードはPCのみ。アプリには未対応。
- 音読用の白文はついていない。
※ちなみに関先生自身は、各問題集の難易度について、次のように分類しています。
『関正生のThe Rules英語長文問題集』のクチコミ
ここでは客観的なデータとして、amazonでのカスタマーレビューをいくつか紹介します。
この記事を書いている時点で、「1 入試基礎」が星5つ中4.5・「2 入試標準」が星4.6・「3 入試難関」が星4.6・「4 入試最難関」が星4.6と軒並み高い評価となっています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
関先生の参考書は、これまでにも手にとったことがあるのですが、特に「初学者」に対しての説明が上手いなと思います。
塾講師として、さまざまな受験生を見てきた経験に裏打ちされたものだと思うのですが、いたるところで受験生が間違えやすいポイントを指摘してくれていて、本当に受験生目線の問題集だなと感じました。
今回紹介した『関正生のThe Rules英語長文問題集』も、単にルールを提示して終わりではなく、それを「いかに試験での点数につなげるか」という視点で解説しています。
難易度別に4冊ありますが、このうち自分の現在のレベルや志望大学のレベルに合わせて2~3冊取り組めばよいと思います。
まだ構文解釈の力に不安があるというあなたは、こちらの記事で紹介した『大学入試 世界一わかりやすい 英文読解の特別講座』がおすすめです。同じ関先生の参考書ですので、共通点も多いと思います。
上でも話しましたが、長文読解のために構文解釈力は欠かすことができません。
自分の現状をしっかりと把握して、そのときのレベルに合った学習法を選択するようにしてください。
今回紹介した『関正生のThe Rules英語長文問題集』を通じて、「読解のためのルール」を身につけたあなたは、過去問演習に進んだときに、その効果の大きさを実感するはずです。
この記事が、あなたの英語学習において役立つものであったなら、とてもうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。