【おすすめ参考書】関正生『世界一わかりやすい 英文読解の特別講座』レビュー

今回は、長文読解の勉強法の記事でもおすすめしたスタサプ英語講師・関正生先生の『大学入試 世界一わかりやすい 英文読解の特別講座』についてレビューしたいと思います。

この参考書は、構文解釈や英文法を活用して、英文にアプローチする方法をわかりやすく解説してくれる1冊です。

主に、単語や英文法をひととおり学び、これから長文読解に取り組む受験生向けの内容となっています。

より正確なレビューをお伝えするために、実際に書店で購入し、最初から最後まで1周してみました。

あらためて、とても良い参考書だと思った一方で、受験生目線で見たときに「ここはデメリットじゃないかな」と感じる部分もあったので、その点もしっかりお伝えしようと思います。

この記事は、次のような方におすすめです。

  • これから長文読解の勉強をはじめるので、おすすめの参考書を知りたい。
  • 構文解釈に自信がないので、構文の解説がわかりやすい参考書を知りたい。
  • 関先生の参考書が気になっているが、どれから手をつければいいのかアドバイスが欲しい。
  • 『大学入試 世界一わかりやすい 英文読解の特別講座』の良い点・悪い点を具体的に知りたい。

この記事を書いた人

ヒラク

TOMOSU BLOG 運営者・執筆者

地方の公立高校から1年の予備校生活を経て、早稲田大学政治経済学部政治学科合格。

目次

著者・関正生先生のプロフィール

関正生先生は、1975年(昭和50年)生まれ、現在スタディサプリで英語講師を務める人気講師です。(詳しい経歴はこちらのWikipedia参照)

数多くの書籍を出版していて、現在の予備校・学習塾講師の中で最も勢いのある1人と言って良いでしょう。

TOEIC990点満点の英語力もさることながら、注目すべきはその「トーク力」。

お笑い番組などを繰り返し見ることで、トークのテンポ、間合いなどをひたすら研究したとのことです。

関先生いわく、「スタサプの授業はネット配信だから、飽きたらいつでも視聴をやめることができる。だから、生徒の関心を引き続けなければならない」のだそう。

単に教えるのがうまいだけの英語講師というわけではなく、生徒の目線に立って授業を進行することのできるあたりが、人気の理由かもしれませんね。

「大学入試 世界一わかりやすい 英文読解の特別講座」の概要・特徴

概要

発売日2011年9月6日
出版社KADOKAWA/中経出版
ページ数380ページ
構成4つのChapter・8つのSection・51のテーマ
目的読解力の向上、構文解釈・英文法の実践
amazonのカスタマーレビュー星5つ中の4.4(記事執筆時点)

特徴

  • 英文を読むときの「アタマの使い方」が身につく
  • 厳選された英文を掲載
  • 学習者目線のわかりやすい解説
  • 「強調構文」や「倒置」をじっくり解説

関正生式の英文読解方法とは?この参考書はどんな受験生向け?

この本は、関先生の英文読解に対するひとつの理念のもとに書かれています。

その理念とはズバリ、「英文を1文1文しっかり素直に読んでいく」ということです。

冒頭で、「速読は大学受験には必要ない」と言い切ったうえで、受験生に必要なのは「愚直で着実な学習」であると述べています。

ですので、この参考書では1つ1つの文章をしっかりと読み解くための方法が学べるわけです。

これから長文読解に取り組もうとしている受験生だけではなく、いまいち長文読解のスキルがアップしないので基礎から見直したい方にもうってつけの参考書と言えるでしょう。

またその一方で、初学者向けではありますが、単語・熟語や英文法などの基礎部分はある程度完成させてから、この参考書に取り組んだ方がより学習効率は高いと思います。

役立つ!関正生先生がおすすめする英語学習のコツ

この参考書の中で「なるほど!」と思った学習法があったのでご紹介します。

それは、「最初に構文をとる→構文をもとに、意味の分からない単語の訳を予想する→辞書を引くときにはその予想に当てはまる部分だけを見る」というものです。

例えば、S+V+O+Oの構文のときに、S+V+人+物である場合は、Vの意味は「与える」か「奪う」のどちらかになるので、辞書でVの意味を調べるときには「与える(奪う)」に該当する意味だけを探せばいいと言うのです。

こうして、辞書を引く時間が短縮できるのだそうです。

確かに、言われてみればとても有効な勉強法ですよね。

ボク自身も、構文をとって、そこで動詞の意味が限定される、というところまでは知っていましたが、それをこういったところにまで役立てることができるということは気が付きませんでした。

こうして少しずつでも時間を短縮していくことが、受験生には必要と関先生は言っています。

「大学入試 世界一わかりやすい 英文読解の特別講座 」で身につくスキルとは?

この参考書を通じて身につくスキルは次の3つです。

  • 構文解釈力
  • 英文法を長文読解に生かす力
  • 日本語訳の技術

構文解釈力

まず1つ目が構文解釈力です。

この参考書を通じて重点が置かれているのが、「構文をとることが、英文の意味を理解する助けになる」ということです。

読解力をあげるうえで、いかに構文をとることが大きな役割を果たしているのかを学習することができます。

構文によって動詞の意味が決まってくるということを、具体例をあげて説明していて、長文読解の基礎はやはり構文だなということを再認識させられます。

英文法を長文読解に生かす力

2つ目にあげられるのが英文法を長文読解に生かす力です。

受験生が基礎として身につけた英文法を、実際の長文でどのように当てはめていくのかを、実践的な形で解説しています。

特に、受動態や仮定法のあたりの解説はとてもわかりやすく書かれていたように思います。

英文法を使って長文を読み解くことで、英文法に対する理解もさらに深まるように感じました。

日本語訳の技術

3つ目は日本語訳の技術です。

関先生は、自然な日本語訳にとてもこだわっています。そしてそのために必要なのは「日本語の力」ではなく「正しい英語のルールを知ること」だと述べています。

「名詞をもとの動詞に置き換えて訳す」「訳すときにも構文解釈を利用する」など、英語のルールをしっかりとつかみ、活用すれば、自然と日本語訳は上達すると説明しています。

すこし技術的なハナシも多いですが、日本語訳の上達が読解力のアップにつながるのではないかと感じました。

実際に学習してみた感想 ~個人的に感じたよい点・悪い点~

よい点

380ページとボリュームはあるが、サクサクと読み進められる。

英文読解の初学者向けの参考書ということもあり、難しい表現はそれほどありません。

例えば、他動詞と自動詞の見分け方について、他動詞=「何を?」と聞き返せる動詞(後ろに名詞がくる)、自動詞=「あっそう」という動詞(後ろに名詞がこない)など、とにかくわかりやすい表現で解説しています。

また、少し難しい解説を入れるときには「ここは読み飛ばしてOKです」と注釈を入れてくれています。

参考書というよりは読み物といった感じで、楽しく学ぶことができる1冊です。

「英文読解のためのルールはこうだ!」で終わるのではなく、そのルールを使って、実際の英文にどうアプローチしていくのかを示してくれている。

解説の多くで、まず英文読解のルールをポンっと提示します。そして次に、そのルールを使って、受験生の頭の中でどういう風にその英文にアプローチしていくべきなのかを順序だてて説明してくれます。

初学者だとこういう風に考えるよねという例を出し、それが間違っているとするなら、じゃあ次はこういう風に考えればいいですよ、といった感じです。

単に英文を出して、ルールを当てはめて終わりではなく、読んでいる受験生の脳内を再現して、より具体的な解説を展開しているのです。

また、掲載されている例文が比較的難しめな点も良いと思いました。

初学者向けの参考書でありながら、ある程度レベルの高い英文にも対応できるようになるので、この1冊を終えた段階で読解力がグッと上がるはずです。

大学入試をかなり研究していることが伝わってくる。

先ほど、例文のレベルが高いと話しましたが、その例文は大学入試の長文からだけではなく、正誤問題や空所補充問題などからもピックアップされています。

また、各テーマごとに「出題者はこういう意図で問題を作っている」とか「学校の先生はこういう風に教えるけど、こう教えたほうが受験生には伝わりやすい」など、さまざまな視点から解説をしてくれています。

とにかく、受験生目線に立って作成された参考書であることがわかり、その点も好感が持てました。

「延長講義」のコーナーがタメになる。

参考書の要所要所に「延長講義」という、関先生の雑談コーナーのようなものがあるのですが、これが意外とタメになります。

関先生の英語以外の知識というのでしょうか、背景知識の幅広さを垣間見ることができます。

受験英語に関しての裏技的なハナシもありますが、受験が終わった後、勉強にどのように取り組めばよいかといったことや、小説の有用性など、社会人であるボクにとってもタメになるハナシばかりでした。

悪い点

一部、日本語訳に対するこだわりが、受験生にとっては不必要だと感じた。

例えば、「The news made me happy」の訳を「そのニュースは私を幸せにした」と訳すのはダメで、「そのニュースによって私はうれしくなった」と訳すべきだ、と言っています。

ここで関先生の言われている「無生物主語(ここではThe news)は主語を副詞的に訳せ」というのは、かなり古い時代に言われていたことです。

ボクの個人の考えですが、「そのニュースは私を幸せにした」という表現は、日本語においても普通に使うと思います。

他にも「訳し方」について何度も言及していますが、関先生自身が「英文読解に速読のようなテクニックは不要」とおっしゃっているのに、日本語訳についてだけ、このような技術的なことにこだわりを持っているのは自分としては「う~ん…」という感じでした。

受験生に必要のないことまで解説している部分がある。

大学受験に必要ないと思われる解説がいくつか見受けられました。

例えば、「It was not until ~ that … :~してはじめて…した」という構文ですが、この構文が歴史的にどのように成立したかを説明していますが、「受験生に必要かな?」と思ってしまいました。

解説の中では、構文の成立を「理解」することで、英文の見え方が変わってくるとしていますが、ボクはここは単純に「暗記」で良いように思いました。

ほかの利用者のレビュー

ここではamazonのカスタマーレビューよりポジティブな意見とネガティブな意見を両方紹介したいと思います。

なお、上でも掲載しましたが、記事執筆時点でamazonでは星4.4というとても高い評価になっています。

本当に分かりやすい学校では教えてくれない事ばかりです。進めていくうちにもうあと数ページしかない。もっと新しいことを知りたいのに。もっと学びたい。という気持ちになります。

選ばれてる英文は難しすぎず、簡単すぎず、内容も面白いもので、好感が持てました。解説もとてもわかりやすく、従来の参考書よりもスマートに解説されていて、知識が整理できました。

基本に徹しつつもハイレベルな応用ができるよに説明されてます。

これ一冊で完璧!というのは無理ですが1ヶ月あれば終わりますし基礎が身につきます。

1冊すべてやりこんだが、すごく力がつきました。絶対やるべき。内容が濃い。

説明がいちいち長い。

中身は、読解と言うよりも、英文法、あるいは英文解釈の本です。

まとめ:「大学入試 世界一わかりやすい 英文読解の特別講座」の評価

いかがだったでしょうか。

関正生先生の『大学入試 世界一わかりやすい 英文読解の特別講座』を学習してみた感想をまとめてみました。

ボク個人の評価としては、「入門書としてはすばらしい」という印象を受けました。

長文読解にこれから取り組む受験生が、構文解釈をつかむための最初の1冊としては非常によくできた参考書だと思います。

構文がどれほど長文読解にとって重要かということを、とても分かりやすい表現で解説していて、入門書としてはとても良いと感じました。

その一方で、この1冊で長文読解を深いところまで理解するのは厳しいようにも感じました。

ボクは受験生時代、長文読解のテキストは代ゼミの富田先生が出されている『富田の英文読解100の原則』を使っていたのですが、それにに比べて、かなりテクニック重視だという印象を受けたからです。

もしあなたが難関大学を目指している受験生であるならば、今回紹介した参考書を入門書として利用したうえで、別の参考書や講座などを利用してきっちりとした理論も学んでおくとよいと思います。

繰り返しになりますが、どの受験生にとっても、入門書としては最適な1冊だと感じたので、気になった方は、ぜひ1度チェックしてみてください。

この記事が、あなたの英語学習にとって役立つものであったなら、とてもうれしいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※関先生が執筆している「関正生のThe Rules英語長文問題集」についてもレビューしています。よければ参考にしてください。

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